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先月、広告代理店最大手に勤めていた女性新入社員の自殺が、労災認定されたことを受け、労働局が違法な長時間労働の疑いで強制捜査に入りました。
昨年、東京と大阪にブラック企業撲滅のための「過重労働撲滅特別対策班」(かとく)が新設され、今年4月には残業80時間超の企業の監督指導体制を強めると発表されました。その体制下での強制捜査は、「長時間労働撲滅」という行政の強いメッセージを感じる捜査となりました。最近の「長時間労働」に対する行政の主な対応についてみていきたいと思います。
【2015年7月】靴の小売店チェーン運営会社 役員を書類送検
複数の店舗で、36協定で定めた時間外労働の上限を超えて月100時間前後の残業をさせた疑い。これまで、行政が指導を行ってきたが十分な改善が見られず、特別対策班(かとく)が、役員を書類送検。
【2016年1月】大手ディスカウントストア 法人及び役員を書類送検
36協定で定めた時間外労働の上限を超え、3ヶ月で最長約400時間の時間外労働を行わせた疑い。2008年以降、41件もの是正勧告を受けながら、改善されなかったため、“かとく” が送検。
【2016年5月】違法な長時間労働を行った会社の企業名公表
月100時間を超える違法な長時間労働が複数の事業所で行われていたとして、千葉労働局は是正勧告を行うとともに、企業名を公表した。これまでは書類送検等に至った段階で企業名を公表していたが、是正勧告の段階での企業名公表は全国で初めて。
【2016年11月】広告代理店大手 本社と3支社に一斉強制捜査
36協定の上限を超えた違法な長時間の残業をさせていたことに加え、不適切な労務管理が行われていた疑い。近年、複数回にわたる是正勧告が出ていたにも関わらず、改善されていなかったこと、今回の過労自殺以前にも長時間労働による過労自殺があったことを受け、“かとく”が大規模な強制捜査を実施。
「働き方改革」のひとつである長時間労働の是正を行政が推し進めようとしていることが分かります。今後も監督官を増員して監督や取り締まりを強化していくと、先日発表されました。おそらく、長時間労働是正のための労基法改正も近々実施されることと思います。