2024年07月18日 (木)

事業主のカスハラ対策、義務化へ

厚労省の令和5年度のハラスメントに関する実態調査によると、
過去3年間にカスタマーハラスメント(以下カスハラ)を受けた経験がある
と回答した労働者の割合は10.8%という結果になりました。

また、精神障害の労災認定基準の見直しにより、
心理的負荷評価表にカスハラが追加されたことが記憶に新しいですが、
カスハラ対策を強化するため、雇用管理上の措置義務化を盛り込んだ法改正案が
令和7年の国会にて審議される予定です。

カスタマーハラスメントとは

現在カスハラの法律上の定義はありませんが、
以下の観点から判断するものとされており、該当例を列挙いたします。

【顧客等の要求の妥当性】
 ●企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない
 ●要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容と関係がない
 →妥当性を欠くと考えられる

【要求を実現するための手段・態様の社会通念上の相当性】
 ●身体的な攻撃(暴行、傷害)
 ●精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言)
 ●威圧的な言動
 ●土下座の要求
 ●継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動
 ●拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)
 ●差別的な言動
 ●性的な言動
 ●従業員個人への攻撃、要求
 →社会通念上不相当であると考えられる

事業主が取り組むべきカスハラ対策の具体例

厚労省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によると、
カスハラ対策の基本的な枠組みを構築するために、
以下の取り組みを行うことが望ましいとされています。

カスハラを想定した事前準備
 ①事業主の基本方針・基本姿勢の明確化と従業員への周知・啓発
 ➁従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
 ③対応方法、手順の策定
 ➃社内対応ルールの従業員等への教育・研修

カスハラが実際に起こった際の対応
 ➄事実関係の正確な確認と事案への対応
 ➅従業員への配慮の措置
 ⑦再発防止のための取り組み
 ⑧その他、不利益取り扱いを行わない旨の周知など

商取引においては、パワーバランスの問題などもあり、
企業の対策としてどこまでできるのかという点においては悩ましい問題ですが、
今後の法改正に向けた動きに注目です。

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≪2024年7月1日発行 マロニエ通信 Vol.257より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie