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海外出張は、海外赴任ほどではありませんが、本人にも会社にもリスクが発生し得ます。
最近目にした事例も交えて、留意点を纏めてみたいと思います。
税務リスク
海外出張に関する税務上の留意点については、支度金は金額や頻度に注意すべきこと、
出張期間が長い場合は現地での所得課税のリスクがあること、
出張者の業務内容によっては日本の本社が現地でPE課税される可能性があることが挙げられます。
支度金・日当・宿泊費の金額レベル
各会社のポリシーにより決定されますが、支度金・日当は、
海外出張の機会の少ない中小企業の方が、金額が高いことも多いです。
支度金は海外出張が初めての社員に対しスーツケース代の実費程度、
日当は一人当たり3,000円~5,000円程度というケースが多かったですが、
昨今のインフレと円安の影響で、値上がり傾向にあります。
宿泊費は、定額支給・実費精算・上限ありの実費精算の3パターンがありますが、
昨今の実勢と社員の安全面を鑑みると、多少の高さは割り切って考えるべきでしょう。
海外出張規程の策定
海外出張規程の策定は、法的義務ではありません。
しかし、社員間の公平性、事務処理の効率性、会社のリスク軽減を考えると、
策定が望ましいものです。
既存の国内出張規程に、必要条文を追加するだけで対応できる場合も多いです。
注意すべきは、長期間に渡る出張がある場合です。
他に行ける人材がいない等の理由により、年単位で派遣されている会社も存在します。
このような場合は、海外赴任に似た実態となるため、
規程を策定する必要性がより高いものとなります。
全く別途に長期海外出張規程を作成する方法のほか、
通常の海外出張規程に、長期出張者のみに適用される条文を加える方法が考えられます。
安全衛生
労働安全衛生規則第45条の2は、労働者を6か月以上海外に出張させる際
および帰国後国内業務に就かせる際には、健康診断を実施することを義務付けています。
また、海外現地での医療制度・医療保険制度が、日本と同等以上であることは稀ですので、
海外出張者に最低限の海外旅行傷害保険を付保することは、必須と言えるでしょう。
現地ビザ
出張者が渡航する際、短期滞在者ビザが必要な国は多く、会社も事前確認すると思いますが、
業務内容や滞在期間によっては、現地での就労ビザが必要になるケースもあります。
最近では特に、移民問題に悩む欧州諸国での規制が厳しく、就労ビザを取らずに長期間出張し、
不法就労認定されて国外退去処分を受けた日本の社員も存在しますので、注意が必要です。
現地でのコミュニケーション
海外出張者にまつわるトラブルで多いのが、現地でのコミュニケーションです。
よく言われるのが、日本からの出張者は、日本からの現地駐在員とばかり話す、
現地職員に見下した態度を取る、というものです。
一方、セクハラ問題も多く、特に欧米では重大な訴訟に発展する惧れもあります。
海外出張予定者に対して、短時間でも事前研修を行うことは、有効と考えられます。
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≪2024年6月1日発行 マロニエ通信 Vol.256より≫
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