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本年の通常国会にて雇用保険法の改正案が可決され、5月17日に公布されました。
今回はいくつかの改正点の中から、雇用保険加入要件の緩和と
教育訓練やリ・スキリングの充実について解説いたします。
雇用保険加入要件緩和(令和10年10月1日施行)
- 雇用保険加入要件
30年近く維持されてきた雇用保険の加入要件が大きく緩和され、
約500万人の労働者が新たに雇用保険の加入対象者になると試算されています。
- 被保険者期間の算定基準
上記の改正により、加入要件が1/2となるため、
各種給付金の受給資格確認時被保険者期間の算定基準も変更になります。
これにより給付金をより多くの被保険者が受け取れるようになることが見込まれます。
- 改正までのポイント
現在雇用保険では、ダブルワークをしておりいずれの事業所にて週20時間以上就労していても、
労働時間の通算はできず、どちらかの事業所のみでしか加入することができません。
改正で加入要件が週10時間以上となると、
複数の事業所で加入要件を満たす労働者がこれまで以上に多くなることが想定されます。
労働保険の複数事業労働者に対応する法改正、
雇用保険のマルチジョブホルダー制度(現行では65歳以上限定)の拡大など、
近年政府は多様な働き方を想定した制度設計を行っています。
法改正までにまだ時間があるため、さらなる制度の見直しがあるかもしれません。
教育訓練休暇給付金の創設(令和7年10月1日施行)
労働者の教育訓練関係の給付金はこれまで教育訓練にかかった費用の一部を支給する教育訓練給付のみでした。
教育訓練休暇給付金は、在職中のリ・スキリングを推進するために育児・介護休業給付金のように
休暇期間中無給の労働者に対し賃金の一部を支給するという制度です。
また、教育訓練給付の給付率も最大70%から80%へ引き上げされます。(令和6年10月1日施行)
教育訓練休暇給付金概要
国は、労働者に対し有給の教育訓練休暇を付与した事業主に一定額を助成金で補填する形で
リ・スキリングを推進していましたが、
この制度によって無給の休暇制度であっても労働者に直接給付が行われます。
そのため、会社が一定の範囲内でスキルアップのために無給の休暇制度を設け、
社外の教育訓練の受講を促し、受講費は教育訓練給付、
無給休暇中の賃金の保証は教育訓練休暇給付金を受給することで対応する制度設計も想定できます。
これまでよりも教育訓練休暇制度導入のハードルが低くなると考えられますので、
この機会に制度の導入をご検討されてはいかがでしようか。
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≪2024年7月1日発行 マロニエ通信 Vol.257より≫
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