2016年12月01日 (木)

働けるのに働かない? 配偶者控除見直しから見える政府と世間のズレ

こんにちは、アーク&パートナーズの小川です。

 

この秋、配偶者控除の仕組みを見直す案が持ち上がり、話題となりました。

結局方針を転換し、制度存続の方向になりましたが、制度の見直しそのものもさることながら、

見直しの理由が「女性の社会進出を推進するため」というところに注目が集まりました。

 

配偶者控除とは、年収が一定額以下の配偶者がいる納税者に対して所得控除を行うもので、

課税所得から38万円が引かれるという仕組みです。

 

配偶者の年収が103万円以下の場合に対象となり、「103万円の壁」と言われるのはこれによるものです。

妻の収入を103万円以下に抑えれば、夫の課税所得を減らせる。つまり所得税や住民税が安くなる。

逆に収入がそれ以上になると夫の課税所得を減らせない上、自身にも所得税がかかったり、

さらに年収が増えていくと社会保険や厚生年金の扶養対象でもいられなくなる。

手取りが減る可能性があるのです。

 

 

それを防ぐために勤務時間をセーブしている人が多いだろうという考え方に基づき、

配偶者控除をなくして女性(主婦)の働く意欲を高めようというのが政府のもくろみです。

 

小川さん 20161201

 

 

しかし、本当にそうなのでしょうか。

税金や保険の負担だけが女性の社会進出を妨げているのでしょうか。

つまり、「働きたいのに働かないことを選んでいる女性が多い」のでしょうか。

 

子どもを預けて働きたくても保育園の空きがない、正規雇用者と非正規雇用者との格差も縮まらない、

介護のために泣く泣く退職を選んだ。

そんな今の社会で、女性の社会進出を妨げているのは税金や保険料の負担だけではありません。

社会の受け入れ態勢が整っていない現状もあります。

 

「働きたいのに働かない」のではなく、「働きたいのに(希望どおりに)働けない」現状を変えるためには、

働き方そのものの見直しや男性の育児参加など、考えるべきことがまだまだたくさんあります。