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こんにちは、アーク&パートナーズの黒川です。
先日スイスの国際機関に勤務する友人を訪問してきました。スイスと言えば、国民の幸福度が高いことや、労働者の満足度が高いという調査結果が幾度となく伝えられる国です。
今回実際にスイスに行き、同じ業界で働く専門家や一般の方々に話を聞いてみました。
2年前のスイスでは驚きの国民投票が行われました。それは、「最低賃金を22スイスフランにする」というもの。22スイスフランと言えば約2,500円です。日本の最低賃金は全国加重平均額で一時間あたり798円(平成27年度)。日本の約3倍です。まずこの金額の差に驚きますが、驚くべきポイントはそこではありませんでした。
国民投票の結果は反対が76%で否決。反対した多くの国民の考え方は、「私達は最低賃金以上の仕事をしているのに、最低賃金を定めたら、会社はその金額以上では雇わないようになる。」というものでした。既に多くの労働者が一時間あたり22フラン以上で働いており、最低賃金が定められたら給料が下がる、自分達の労働に見合った報酬が得られなくなるという考えなのです。
もし日本で同じ投票が実施されたらどうなるでしょうか。おそらく「最低賃金額を上げろ」という話になるでしょう。今までも最低賃金はデモの対象になるなど国民からの関心度は高く、平成25年は764円、平成26年は780円と、少しずつ上がっています。
上げることを求める理由は、最低賃金は労働者を守ってくれるもの、という考え方が日本にはあるからではないでしょうか。スイスの場合は、最低賃金は労働者を軽視するものという考え方があるように思います。
来月、日本では新たに定められた最低賃金が適用されます。