2024年04月11日 (木)

「試用期間」、正しく運用していますか?

4月は入社する人が最も多い月といえます。
入社時に一定の試用期間を設けている企業は多いですが、
適切に取り扱わないと思いがけないトラブルに発展することもあります。

そこで今回は、試用期間を正しく、かつ効果的に活用するための留意点をまとめます。

試用期間とは

試用期間とは、新規の入社者に対し一定期間内に能力や勤務態度・適性などを見て、
本採用するかどうか、また本採用後の配属先などを判断するために設けられているものです。
企業側が採用活動から見抜けなかったスキルや適性を見極め、ミスマッチを防ぐことが主な目的です。

試用期間中の扱い

試用期間中の解雇・本採用拒否

試用期間中も労働契約が成立しています。
この間の労働契約は「解約権留保付労働契約」と考えられ、
法律上は、労働契約の解約権を留保している状態と解釈されます。
したがって、試用期間中または試用期間終了時に契約を終了することは、解雇に相当します。

解雇にあたっては「客観的に合理的な理由」が必要であり、
試用期間だからといって自由に解雇できるわけではありません。

具体的には、次に掲げる基準などを考慮して判断されます。
●能力不足を理由とする場合:判断基準は的確か、適切な指導・教育がなされたか
●勤務態度を理由とする場合:注意指導を行っても改善されない状況かどうか
●経歴詐称を理由とする場合:業務に支障をきたす内容か(学歴・職歴・犯罪歴など)

試用期間中の解雇は、上記「解約権留保付労働契約」の趣旨に照らし、
本採用後の解雇より広く認められるとされています。
しかし、適切な指導・教育が行われていなかった場合や、
解雇理由が不明確な場合には無効とされることがあり、慎重な判断が必要となります。

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≪2024年4月1日発行 マロニエ通信 Vol.254より≫
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