2024年01月18日 (木)

業務委託と労働契約の違い

昨秋、宝塚歌劇団の劇団員が亡くなった事件は記憶に新しいところです。
劇団員の方は業務委託契約だったということですが、
一方で過酷な労働状況や拘束の強さなどが明らかになり、
労働基準監督署が立ち入り調査に入る展開となりました。

「業務委託と労働契約」は何が違うのでしょうか。
あらためて考えてみたいと思います。

 

業務委託契約とは

業務委託とは、民法で規定されている「請負契約」「委任契約」「準委任契約」を総称する言葉です。
業務の目的、報酬の対象により契約の形式や名称は異なりますが、
業務の一部またはすべてを外部に委託し、その仕事の完結や業務遂行に対して報酬を支払う契約です。

これに対して労働契約とは、労働者が使用者に使用されて労働に従事し、
使用者はそれに対して賃金を支払う契約です。(労働契約法第6条)

 

 

労働者性の判断

労働基準法における「労働者」の概念は次のとおりです。

「事業または事務所に使用される者(①)で、賃金を支払われる者(②)」(労働基準法第9条)

使用される指揮監督下の労働
(労働が他人の指揮監督下において行われるかどうか)

賃金を支払われる報酬の労務対償性
(報酬が「指揮監督下における労働」の対価として支払われているかどうか)

上記から使用従属性が認められると、
労働者として労働基準法、労災保険法、健康保険法等の保護の対象となります。
使用従属性や労働者性の判断は、契約の形式や名称にかかわらず、
個々の働き方の実態に基づいて行われます。

高い専門性を持つ人に業務を任せるという業務委託契約の本来のメリットをより活かすためにも、
契約内容を正しく理解し利用することが大切です。

 

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≪2024年1月1日発行 マロニエ通信 Vol.251より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie