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令和5年6月13日に「こども未来戦略方針」が閣議決定されました。
同日岸田総理大臣が会見を行い、
「若い世代の所得を増やす」
「社会全体の構造・意識を変える」
「すべての子ども・子育て世帯を切れ目なく支援する」
の3つの基本理念を踏まえた上で、実施する具体的な施策を説明しています。
従業員の生活に大きく影響する内容ですが、
そのうち企業が注目したい事項として3点紹介いたします。
いわゆる「年収の壁(106万円/130万円)」への対応
「若い世代の所得を増やす」にあたり、多様な働き方を効果的に支えるため
週所定労働時間20時間未満の労働者に対する雇用保険の適用拡大について検討し、
2028年度までを目途に実施することとされました。
また、いわゆる106万円・130万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、
短時間労働者への被用者保険の適用拡大や最低賃金の引上げに取り組むことと併せて、
被用者が新たに106万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせないための
当面の対応を本年中に決定した上で実行することとされました。
男性育休の取得促進
政府は、「社会全体の構造・意識を変える」の一環として
「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて、
制度面と給付面の両面からの対応を抜本的に強化すると発表しました。
制度面においては、育児休業取得率の開示制度の拡充を検討し、
これを踏まえて有価証券報告書における開示を進めることとされました。
一方、給付面においては、男性が一定期間以上の「産後パパ育休」を取得した場合には、
その期間の給付率を引き上げるとともに、
女性の産休後の育休取得について28日間(産後パパ育休期間と同じ期間)を限度に
給付率を現行の67%から8割程度へ引き上げることとし、
2025年度からの実施を目指して、検討を進めることとされました。
育児期を通じた柔軟な働き方の推進
こどもが3歳になるまでの場合においては、現行の育児・介護休業法上、
短時間勤務を措置することが事業主に義務付けられており、
また、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整等が努力義務となっています。
これらに加え、新たに、子育て期の有効な働き方の一つとして、
テレワークも事業主の努力義務の対象に追加することが検討されます。
また、こどもが3歳以降小学校就学前までの場合においては、育児・介護休業法で、
短時間勤務、テレワーク、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、
休暇など柔軟な働き方について、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ
複数の制度を選択して措置し、
その中から労働者が選択できる制度(親と子のための選べる働き方制度(仮称))
の創設が検討されます。
さらに、現在はこどもが3歳になるまで請求することができる所定外労働の制限について、
対象となるこどもの年齢の引上げが検討されます。
「2030年までがラストチャンスです。
不退転の決意を持って、経済成長と少子化対策を車の両輪として、
スピード感を持って実行してまいります。」
と岸田総理は会見を締めくくりました。
上記以外にも今後3年間を集中取組期間として、
できる限り前倒しで対応を進めていく予定となっています。
社会全体が協力し未来への投資を進めることで、子どもたちが健やかに成長し、
活躍できる環境を築いていくことが求められます。
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≪2023年8月1日発行 マロニエ通信 Vol.246より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie