月60時間超の時間外労働への代替休暇

令和5年4月より、中小企業も月60時間超の法定時間外労働について
割増賃金率が25%以上から50%以上へ引き上げられました。

今回は引き上げ分の割増賃金を支払う代わりに有給の休暇を与える
代替休暇制度について解説いたします。

制度の概要

代替休暇制度とは、労働者の健康確保を目的とし、
法定時間外労働が1ヵ月あたり60時間を超えた場合に、
引き上げ分の割増賃金の支払いに代えて、相当の休暇(代替休暇)を付与する制度です。

出典:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000972776.pdf
「改正労働基準法のポイント」

 

代替休暇の計算方法

代替休暇の計算は、時間数をベースに行い、
その後付与単位(1日または半日)に応じて日数に換算します。

代替休暇の時間数の計算方法は次の通りです。

(1ヵ月の法定時間外労働時間数-60時間)×換算率(※)

※換算率
「代替休暇を取得しなかった場合の割増賃金率-代替休暇を取得した場合の割増賃金率」
法律上の最低基準の割増賃金率で計算すると、換算率は25%(50%-25%)となります。

 

仮に、1ヵ月の法定時間外労働の合計が76時間で、
割増賃金率が60時間まで25%、60時間超50%の場合では、
代替休暇の時間数は4時間となります。

16時間(76時間-60時間)×25%(50%-25%)=4時間

この4時間を半日分として代替休暇を取得すると、
60時間を超える法定時間外労働16時間に対する割増賃金率は25%となります。

 

実務上の留意点

制度導入にあたり、代替休暇の時間数の具体的な算定方法、
代替休暇の単位などを定めた労使協定の締結が必要となります。
また、代替休暇の取得は労働者判断であり、会社が取得を強制することはできません。

 

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≪2023年5月1日発行 マロニエ通信 Vol.243より≫
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