2023年03月23日 (木)

育児休業取得状況の公表の義務化について

育児・介護休業法の改正に伴い、男性の育児休業取得促進を目的に
令和5年4月から従業員が1,000人を超える企業の事業主は、
男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられます。

そこで、実務上のポイントを解説します。

 

公表対象

常時雇用する労働者が1,000人を超える企業が対象となり、
「常時雇用する労働者」とは雇用契約の形態を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者をいい、
次のような者を指します。

●期間の定めなく雇用されている者
●一定の期間を定めて雇用されている者または日々雇用される者であり、
その雇用期間が反復更新されて事実上期間の定めなく雇用されているものと同等と認められる者
(過去1年以上引き続き雇用されている者または雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者)

 

公表内容

公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)における
次の①または②のいずれかの割合を指します。

なお、公表時期は前事業年度経過後、おおむね3か月以内に公表する必要があります。

●「育児休業等」とは、産後パパ育休も含めた育児休業等の取得者数とする。
●育児休業を分割して取得した場合や、育児休業と育児目的の休暇制度の両方を取得した場合等であっても、
当該休業や休暇が同一の子について取得したものである場合は1人として数える。
●事業年度をまたがって育児休業を取得した場合には育児休業を開始した日を含む事業年度の取得、
分割して複数の事業年度において育児休業等を取得した場合には最初の育児休業等の取得のみを計算の対象とする。

 

公表方法

インターネット等の一般の方が閲覧できる方法で公表する必要があります。
具体的には自社のホームページや厚生労働省が運営するウェブサイト
『両立支援のひろば』の利用等での公表をお勧めします。

 

現状と今後の目標

少子高齢化に伴い労働力が不足するなかで、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、
男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現が重要ですが、
実際の育児休業取得率は男女で大きな差があります。
最新の令和3年度の男性育児休業取得率は13.97%と、前回調査より1.32%上昇しましたが、
未だ低い水準にとどまります。

一方で、育児休業制度の利用を希望していたが出来なかった男性労働者の割合は約4割であり、
男性労働者の希望が十分にかなっていない現状があります。

政府は令和7年度までに男性育児休業取得率30%を目指しているため、
その実現に向けて、育児休業の申出がしやすい職場環境の整備、
業務と調整しやすい柔軟な制度とするなどの取り組みが必要です。

 

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≪2023年3月1日発行 マロニエ通信 Vol.241より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie