2023年02月16日 (木)

賃金請求権の消滅時効延長

令和2年4月1日の労働基準法改正により、改正日以降に支払われるすべての賃金を対象として、
賃金請求権の消滅時効が従来の2年から5年に延長(当分の間は3年の経過措置)されました。

今年の4月で改正から3年となるこのタイミングで改めてポイントを解説いたします。

 

現実的な影響


令和4年1月末時点では2年10か月分の賃金請求権にとどまっているものの、
令和5年4月以降、過去3年分の賃金請求権が発生することとなります。

 

時効期間延長の対象となる賃金

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000617974.pdf
「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」(令和4年12月22日)

 

記録の保存期間・付加金の請求期間の延長

賃金請求権の消滅時効延長に伴い、賃金台帳などの記録の保存期間が
賃金支払期日から5年(当分の間は3年)に延長されています。

また、令和2年4月1日以降に、割増賃金等の支払がされなかったなどの違反があった場合、
付加金を請求できる期間も5年(当分の間は3年)に延長されるなど、
賃金の支払いに関連する事項も延長となっております。

 

経過措置として消滅時効は“当分の間3年”となっているものの、
改正労基法施行後5年経過後の状況を勘案しつつ、
本来の消滅時効(5年)とするか今後検討が加えられるとされております。

また、令和5年4月1日から中小企業の月60時間超の割増賃金率も引き上げられるなど、
給与計算が複雑になっていきます。

そのため、より一層賃金の未払いなどが発生していないか、注意しておく必要があります。

 

 

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≪2023年2月1日発行 マロニエ通信 Vol.240より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie