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岸田政権が「留学生30万人計画」を見直し、さらに増やす方針を打ち出したことが注目を浴びています。
令和4年10月からの社会保険適用拡大に伴う論点もありますので、
改めて外国人留学生の就労に関する留意点をまとめておきたいと思います。
在留資格関係
在留資格「留学」の目的は、もちろん学業であり、就労ではありません。
しかし留学生が入管に申請すれば、「資格外活動」として一定の就労が可能になります。
雇用主は在留カード裏面の記載により、これが許可されているか、確認する義務があります。
「資格外活動」の許可があれば、留学生も週28時間までの就労が可能です。
また、夏休み等の長期休暇の期間は、週40時間までの就労が可能となります。
「資格外活動」許可のない留学生を就労させたり、上限時間を超えて就労させたりすると、
留学生本人は、最悪の場合、強制送還の対象にすらなってしまいます。
一方、雇用主は、不法就労助長罪により、
3年以下の懲役または300万円以下の罰金を課せられる可能性があります(入管法第73条の2)。
給与計算関係
日本の所得税法上、課税関係に国籍は関係なく、「居住者」か「非居住者」かにより、決定されます。
「居住者」の定義は、
「国内に住所を有し、または現在に引き続いて一年以上居所を有する個人」
とされていますので、
これに該当すれば外国人も「居住者」であり、日本人労働者と同様に課税されます。
日本での滞在(予定)期間により「非居住者」となれば、20.42%の源泉所得課税の対象となります。
ところが、外国人留学生の場合は、追加で留意すべき点があります。
出身国と日本との租税条約により、所得税が減免されるケースがあるのです。
例えば、中国からの留学生の場合は、日中租税条約第21条により、
日本でのアルバイト収入は免税とされています。
不合理であるとして政治問題化していますが、現状の扱いとしては、このようになります。
なお、租税条約の内容は相手国により異なりますので、その度に確認する必要があります。
社会保険関係
令和4年10月から社会保険の適用がさらに拡大され、
これまで対象外であったアルバイト留学生の適用事例が増加しています。
ポイントは、適用拡大後も、「学生」は社会保険の適用除外であることは変わらないものの、
在留資格「留学」の学生は、必ず適用除外になるとは限らず、所属する学校によって異なってくることです。
厚生年金保険法および健康保険法等により、社会保険適用除外となる学生は、
「学校教育法上の大学の学生等、それに準じる機関に所属する者」とされています。
一方、「留学」の在留資格は、歴史的変遷から、
学校教育法上の学校でない日本語教育機関等で学ぶ学生にも与えられています。
つまり、日本語教育機関について言えば、適用除外となる学校とそうでない学校が混在しているのです。
よって実務上は、採用時に学生証の提示を受けて、適用除外となる「学生」であることを確認し、
判断が難しい場合は、「国民年金保険料の学生納付特例の対象校一覧」等を参照することが必要でしょう。
社会保険の適用拡大のインパクトに加えて、留学生の総数の増加が見込まれています。
留学生の就労につき、改めて注意すべきタイミングになっているものと考えます。
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≪2022年11月1日発行 マロニエ通信 Vol.237より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie