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社会保険は、雇用保険と異なり、勤務する会社で加入要件を満たせば
その会社ごとに被保険者として加入する必要があります。
つまり、いわゆるダブルワークのような働き方をしている労働者や
複数の会社の取締役として報酬を得ている役員が、複数の勤務先で加入要件を満たせば、
それぞれの勤務先で資格取得手続を行わなければなりません。
二以上事業所勤務者の社会保険手続きのポイント
複数の適用事業所で勤務する場合の社会保険手続における流れは以下の通りです。
①適用事業所ごとに社会保険の加入要件を満たすか判断する
②自社において被保険者資格の要件を満たす場合は、資格取得手続きを行う
③被保険者が、主たる事業所(以下、「選択事業所」)を選択し「所属選択・二以上事業所勤務届」の届出を行う
※被保険者が選択する際の判断基準としては、健康保険料率や給付の内容などが考えられます
④届出の結果、下記の機関が当該被保険者に関する事務を行う
●厚生年金保険:選択事業所の所在地を管轄する年金事務センター
●健康保険:選択事業所の所在地を管轄する年金事務センターまたは健康保険組合
二以上事業所勤務者の保険料計算方法
選択事業所の報酬月額をA、非選択事業所の報酬月額をBとすると、
当該被保険者の標準報酬月額ZはA+Bの合算額を保険料額表にあてはめて求められます。
それぞれの事業所が負担する保険料は以下の通りになります。
二以上事業所勤務者本人が負担する保険料について具体的な計算方法を見てみます。
※便宜上、端数は切り捨てています
なお、賞与における保険料については、
選択事業所における賞与額と非選択事業所における賞与額を合算して求めた標準賞与額に対して選択事業所の保険料率を掛け、
賞与額に応じて按分した金額がそれぞれ負担する保険料になります。
二以上事業所勤務者における算定基礎届・月額変更届の実務
二以上事業所勤務者にかかる算定基礎届は、
選択事業所を管轄する年金事務センター/健康保険組合から各事業所に専用の届出用紙が送付されます。
自社の報酬のみを記載の上、選択事業所を管轄する年金事務センター/健康保険組合に提出することで、
各事業所から受ける報酬を合算の上、その年の9月以降の標準報酬月額が決定されます。
また、固定的な報酬に変動があり2等級差が生じた場合は、
他の被保険者同様、月額変更届を作成(算定基礎届同様、自社の報酬のみを記載)し提出します。
なお、他の事業所で随時改定に該当した際も、
選択事業所を管轄する年金事務センター/健康保険組合から各事業所に報酬月額改定の通知が届くため、
給与計算への反映を忘れないよう留意が必要です。
本年10月の短時間労働者の社会保険の適用拡大(vol.227・Topic2参照)により、
今後はそれぞれの勤務先で加入要件を満たすケースも想定されるでしょう。
自社で雇用する従業員の働き方を適切に把握し、正しい手続きを行いましょう。
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≪2022年6月1日発行 マロニエ通信 Vol.232より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie