無期転換ルールの検討

無期転換ルールについて法律の定めに基づき施行の状況も踏まえた検討が
令和3年3月より行われております。
平成25年4月の施行から9年、現在の運用状況の調査結果から、
労働者のより活発な権利の行使の為の報告書がまとまりました。
今後この報告書をもとに立法化されると考えられます。
今回はその内容について解説いたします。

 

無期転換ルールとは

同一の使用者(会社)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、
労働者の申し込みによって無期労働契約に転換するルールです。
無期転換の申し込みがあった場合、申し込み時の有期労働契約が終了する日の翌日から無期労働契約となります。
なお、無期転換後の労働条件は、就業規則等で定めがある場合を除き、
直前の有期労働契約と同一の労働条件が引き継がれることになります。

 

 

現在の活用状況について

調査によると、平成30年度及び平成31年度に無期転換ルールにより無期転換した労働者は、
約 118 万人と推計されています。
しかし、無期転換権が生じた労働者のうち、無期転換を申し込まなかった労働者が約7割にのぼります。
その主な要因の一つが制度の周知不足で、無期転換ルールに関して
内容について知っている労働者の割合は有期契約労働者のうち約4割にとどまっており、
名前すら知らない労働者が約4割いるとされています。

 

報告書案のポイント(使用者の義務事項)

●無期転換ルールの見直し
① 労働者に対する無期転換申込機会の通知義務(無期転換申込権が発生する契約更新ごと)
② ①の通知とあわせて無期転換後の労働条件の明示義務
③ 最初の契約締結後に更新上限を設けた場合、労働者から求めがあれば更新上限を設けた理由の説明義務

●多様な正社員の労働契約関係の明確化
※無期雇用転換労働者の増加に伴い多様な正社員の労働契約関係が増加すると見込まれるため、
無期転換ルールの見直しと併せて検討されています。
① 労働契約締結時における労働条件の書面明示義務の対象範囲に、就業場所や職務の変更範囲を追加
② 労働契約内容変更時における労働条件の明示義務

 

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≪2022年5月1日発行 マロニエ通信 Vol.231より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie