海外赴任のコストコントロール

会社が社員に海外赴任を命じると、支度金や本人・家族の渡航費の他、
国内勤務社員とは異なった様々な経費が発生します。
赴任中も、日本にいればかからない費用は会社が負担する、という考えが基本になりますので、
会社にとってのコストは大きなものになりがちです。
この際、社員の安全衛生管理の観点からも、必要な支出は惜しむべきではないですが、
赴任者からの希望のままに支出していては、国内勤務社員との公平も崩れてしまいます。

 

海外赴任者の給与は、国内勤務時の毎月の手取りを保証すると共に、日本にいれば受けられた
各種補助の較差(住宅ローン控除など)を補填するため、海外赴任手当を上乗せ支給する形が通常です。
それ以外でも、現地の住居費や子女教育費をカバーする手当を支給する場合、
金額が高額になりがちですので、適切な工夫をすべきでしょう。

海外では高額になりがちな子女教育費を例にあげます。
日本人学校がある場合は義務教育の期間は会社が学費を全額負担する、というケースが多いですが、
途上国など日本人学校がなく現地校に通わせるのは難しい、という場合は特に問題になります。
インターナショナルスクールはとても高額ですので、これを全額会社が負担するというのは大企業でも多くはありません。
月額または年額で会社負担の上限を定めている会社が多く、それが現実的だと思います。
学費以外にも事実上強制的な寄付金を求める学校もありますが、
これもあらかじめ限度を定めて支援する会社はよく見かけます。

上記は定常的に発生する経費ですが、駐在員からの申し出により突発的なコストが発生する場合もあります。
弊社も様々な事例を目にしております。

ケース①
「現地滞在が長くなった駐在員が、現地で住宅を購入することにし、
その際に日本国内と同様の会社からの資金補助を受けたい、という申し出があった」
というケースがありました。

同社の住宅取得資金補助制度は国内住宅を想定したもので、
駐在中は会社が用意した社宅に住む規定にもなっており、会社側は断ることも可能でした。
しかし結果として、配偶者が現地国籍であることも考慮し、
補助の年数・金額の新たな基準を設定し、会社の認めた物件に限ることを条件として補助を認めました。

ケース②
「駐在員が転職のため退職して日本に帰国することを希望し、海外赴任したのは
会社の命令によるので帰国費用も会社が負担すべきだ、と主張している」
というケースです。

これはもちろん、帰国するのはプライベートな理由のため会社が負担する必要はありません。
赴任中の海外基本給を計算する際のみなし所得税控除の金額を積み立てておき、
こうした支出に充てるという会社も存在しますが、あくまで厚意であって義務ではありません。

絶対の正解を見つけることが難しい分野ではありますが、
駐在員の安全や福祉と会社の適正負担をバランス良く考える必要があります。
弊社も、これまでの経験を活かし、適切な助言をさせていただけるよう努力して参ります。

 

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≪2022年3月1日発行 マロニエ通信 Vol.229より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie

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