2022年01月27日 (木)

外国人就労大国ニッポン

昨年暮れに「外国人就労、無期限に」という大きなタイトルがメディアに踊り、
日本も「移民大国」になるのか、という論調も見られました。
これは「移民」の定義によってきますし、中身は政府が検討中の特定技能在留資格に関することですが、
我が国は少なくとも既に「外国人就労大国」ではあると考えます。

日本での就労外国人数は近年増え続けており(2020年10月末現在で約172万人)、
特に技能実習(約40万人)および資格外活動(約37万人、留学生等)が多く、
専門的・技術的分野(約36万人)を上回っていることが特徴と言えます。

これにより、外国人の労務管理も、以前はホワイトカラーのエクスパット向けが中心でしたが、
今では単純労働やそれに準ずる労働形態の管理が重要となっています。

社労士等の専門家のもとへも、通常の雇用形態に加えて、技能実習生や
特定技能在留資格外国人の労務管理についての専門的知識の提供を求められることが増えているようです。
賃金台帳、勤怠管理、就業規則等のチェックや、厚生年金脱退一時金等の外国人特有の扱いなど
企業の人事部労務部門での必要な対応は多岐にわたるためです。

 

一方、技能実習や特定技能は特殊な制度かつ、直近で法改正・運用改正が多いので、
人事担当者側も不断の勉強が必要になります。

例えば外国人技能実習法により、外国人技能実習機構(OTIT)が定期的に監理団体や受入企業を実地検査すること、
監理団体の監理責任者には常勤性が求められること、
受入企業には技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員の選任・配置が必要であることは承知しておくべきでしょう。

また、外国人技能実習生の保護の観点から、技能実習生の寝室は1人あたり4.5㎡以上であることが定められています。

2022年に激増があり得る特定技能在留資格外国人(2021年6月時点で約3万人)に関していえば、
元外国人技能実習生を特定技能資格での就労に斡旋するのであれば、必ず職業紹介の許可または届出が必要ですので、
技能実習生の受入企業への斡旋には認可等が不要な監理団体は要注意です。

さらなる外国人就労大国へと大きく社会が動こうとしている今、制度も複雑化しています。
専門家と協力しながらグローバル人材戦略を前に進めることが賢明と言えるでしょう。

 

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≪2022年1月1日発行 マロニエ通信 Vol.227より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie