コロナ禍における外国人材受け入れと労務管理

最近、立て続けに、
「海外から外国人学生インターンを受け入れる予定だったが、コロナ禍により来日してもらうのを一旦諦め、
海外の自宅でオンラインインターンを行う場合の問題点について確認したい」
というご相談がありました。

本稿では、コロナ禍により受け入れ予定だった外国人材が当面来日できない場合において、
会社の人事部門が行うべき対応について解説したいと思います。

ビザ手続き関係では、在留資格認定証明書の有効期限までに来日できない事態が起こり得ます。
認定証明書は通常3か月間有効ですが、コロナ禍の感染拡大から、
「延長みなし制度」を導入するなど、政府(入管)は柔軟に対応しつつあります。
入管のHP等から、最新の取り扱い状況につき確認しておく必要があります。

外国人材が本国にとどまっている場合、会社の人事部門が外国人材に対して直接何かできることはないでしょうか。
一般的なものとしては、日本でのビジネスマナーや日常生活について、オンラインでの入社前研修を行うことがあります。
ただし、トラブルを避けるため、参加は義務なのか自由なのか、
時間や賃金について、書面を取り交わしておくことが望ましいでしょう。

 

 

また、母国での待機が長引くと、外国人材のメンタル面も不安定になりがちです。
会社としては、定期的な状況ヒアリングのため、
窓口担当者とコミュニケーションツール(Zoomなど)を決めて、先方に周知しておきましょう。

そして、外国人材に入国待機してもらっている期間は、
人材戦略を改めて見直し、入国後の労務管理を考えるチャンスでもあります。
特に、外国人材の存在が当たり前となってきた現在では、外国人材の「採用」から「定着」へと、
会社側の重点も移ってきました。

具体的には下記3点の対策の検討が望ましいでしょう。
(1)採用後や退職時のトラブルを避けるため、外国人材に配慮した条項を含めた就業規則を作成し、周知する
(2)日本に不慣れな外国人材のため、職場および日常生活に係る支援(特定技能1号外国人に対して行うようなもの)をする
(3)評価と処遇の基準を明示し、キャリアマップも作成して、会社生活に納得と希望が持てるものにする

最近では、大企業より外国人比率の高い中小企業も珍しくありません。
コロナ禍を、人材戦略のグローバル化を目指す機会にされてはいかがでしょうか。

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≪2021年10月1日発行 マロニエ通信 Vol.224より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie