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派遣労働者を受け入れる派遣先においては、コストの削減や、
業務効率の向上を見込める等のメリットがありますが、
派遣労働者を受け入れる際には留意すべきポイントがいくつか存在します。
近年複数回の改正を重ねている労働者派遣法等について、
令和3年の改正内容を中心に派遣先における留意点を解説いたします。
[Point1] 令和3年労働者派遣法等の改正の概要
令和3年の労働者派遣法等の改正は、1月1日と4月1日の2回に分けて施行されております。
改正の内容は以下6点です。
[Point2]令和3年労働者派遣法等の改正に伴い派遣先において留意すべきポイント
●電子契約への対応を検討すること(Point1②)
派遣労働者は、短期間で契約を見直されるケースが多いため、
契約内容の見直しや更新作業が頻繁に実施されていました。
労働者派遣契約は、書面での契約が原則とされていたことから、
事務担当者の業務負担が大きい点が問題視されていました。
そこで、事務負担の軽減を目的として、書面だけでなく
電磁的記録での作成(データ作成)及び管理が認められました。
これに伴い、派遣先においては、電子契約を導入するなどの対応を検討する必要が生じております。
●苦情処理体制の整備(Point1③)
派遣先において以下3点を定め、労働者派遣契約に明記しなければなりません。
派遣労働者からの苦情対応は、派遣先が誠実かつ主体的に対応する必要があります。
① 苦情の申し出を受ける者(窓口・責任者)
② 苦情の処理を行う方法
③ 派遣元事業主との連携体制
[Point3] 従来から引き続き派遣先において留意すべきポイント
労働者派遣法においては、従来から派遣先が留意すべき内容が定められております。
ここでは、そのうち2点について解説いたします。
●離職後1年以内の元従業員を派遣労働者として受け入れることの禁止
本来直接雇用すべき労働者を派遣労働者に置き換えることで、
当該労働者の労働条件が切り下げられることのないよう、
派遣先は、当該派遣先を離職して1年以内の者を派遣労働者として受け入れてはならないとされています。
また、派遣元事業主は、派遣先を離職し、1年を経過しない労働者を
派遣労働者として当該派遣先へ派遣してはならないとされています。
なお、該当する労働者が派遣されることとなった場合、
派遣先は派遣禁止対象労働者であることを派遣元事業主に通知することとされています。
●労働契約申込みなし制度
派遣先が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、
派遣先が当該派遣労働者に対して直接雇用の申し込みをしたものとみなされます。
派遣先は、違法状態が発生した日から違法状態が終了した日後1年が経過するまでの間、
労働契約の申し込みを撤回することができません。
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≪2021年7月1日発行 マロニエ通信 Vol.221より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie