厚生年金「脱退一時金制度」の改正

外国人向けの厚生年金脱退一時金制度が改正され、2021 年4 月より、
支給上限月数が、従来の36 ヶ月(3 年)から60 か月(5 年)に引き上げられました。
これは、外国人労働者にとって大きなメリットです。この機会に、制度自体を振り返ってみます。

 

 

Contents

制度の概要

脱退一時金は、外国人労働者が厚生年金の被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合に、
それまでに支払った年金保険料を掛け捨てにしない趣旨で支給されるものです。
実際の支給額は、平均標準報酬額×支給率で求められますが、この支給率において被保険者期間が計算要素となっており、
最大60 ヶ月までカウントできるようになりました。

 

手続方法

脱退一時金を受給するための手続きとしては、日本を出国してから2 年以
内に、「脱退一時金請求書」を以下の書類と併せて、日本年金機構に提出します。

①本人確認書類(パスポートの写し等)
②日本国内に住所を有しなくなったことを確認できる書類(住民票の除票の写し等)
③基礎年金番号が確認できる書類(年金手帳等)
④脱退一時金の受取銀行口座の確認ができる書類(銀行の口座証明印等)

 

手続上の留意点

外国人が脱退一時金を受給する場合の受取銀行口座関係では、留意が必要です。
受取銀行口座は、日本国内・国外、どちらの金融機関も指定することができます。
税法上、脱退一時金は非居住者の退職所得となりますので、20.42% の源泉徴収の対象となります。
この部分は、翌年確定申告することにより、還付可能な場合もありますが、
その入金口座は日本国内のものに限定されています。
よって、この還付金を受け取るには、納税管理人を指定して、その口座で代わりに受け取ってもらってから、
国外へ送金してもらう形が一般的です。
手取り給与を減らしたくないので、日本の年金保険料は払いたくないと思っている外国人労働者が多いことは事実でしょう。
しかし、そもそも社会保険への加入及び保険料の納付は、法的な義務です。
加入していなければ、在留資格の更新や変更の際、不許可の理由となり得ます。
今回の改正により、例えば技能実習生は、技能実習3 号(1・2 号の3 年間と合わせて計5 年間)修了まで継続して日本で就労してから、
一回で5 年分の脱退一時金を請求できることになりました。
このように、当事者にとっては影響の大きな改正ですので、外国人労働者には必ず周知しておきましょう。

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2021年6月1日発行 マロニエ通信 Vol.220より≫

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