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最近、米国におけるテレワークに関するJETRO NYのレポートと
スタンフォード大Bloom教授の論文を読む機会があり、
とても興味深いものでしたので、シェアさせていただきます。
テレワークは、1970年代にNASAのエンジニアが始めた仕事様式であり、
その後米国で大きく普及してきました。
IT先進国であり、成果主義の人事評価が根付いている国ですので、
もともと親和性は高かったものと思われます。
米国でのアンケート調査によれば、テレワークに対する評価として、
通勤しなくてよい、スケジュールが柔軟に組める、
ワーク・ライフ・バランスを取りやすいことが、最大のメリットとして挙げられています。
一方で、同僚との共同作業が困難、作業を中断せざるを得ないことが多い、
セキュリティが不安、といったデメリットも指摘され、
一本調子で拡がったものではありませんでした。
テレワークに関する最もよく知られた研究である、
Bloom教授による旅行会社従業員を対象とした調査(2015年)では、
希望者による在宅勤務はパフォーマンスを13%増加させ、
離職率を50%低下させるという結果でした。
ところが、同教授が今回コロナ禍において再調査を行った結果は、
オフィスでの就業を禁じられ、狭いスペースで子どものいる傍ら
自宅での作業を義務付けられた従業員は、生産性が破滅的に低下したというものでした。
また、2013年には米Yahoo!社が在宅勤務を禁止し、2017年には米IBM社が
テレワークしている社員に対し必要時にはオフィスで勤務するように求めたことが報道されました。
これは、社内の意思疎通を活性化させ、顧客の要望に迅速に対応するためと言われています。
とはいえ、直近の新型コロナ感染症の拡大により、
テレワーク導入または回帰せざるを得ない会社は爆発的に増加しました。
そこで多くの米国企業が採った方策は、
・Slackなどのコミュニケーションツール
・Cisco Webexなどのビデオ会議ツール
・Basecampなどのプロジェクト管理ツール
を一挙に採用したことで、
またセキュリティ対策もVPNの活用などによりかなり強化がなされました。
そしてテレワークの推進が、コロナ後も続く確固たる会社の方針だと従業員に示したのです。
日本企業は米国と同じ道を歩むわけではありませんが、
先進的なツールの導入や、会社の方向性の明示などは、参考にできるのではないでしょうか。
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≪2021年4月1日発行 マロニエ通信 Vol.218より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie