2021年01月21日 (木)

時間外労働に関する規制の猶予措置及び適用猶予の廃止

2019年4月1日に改正施行された時間外労働に関する規制の適用については、
中小企業に対する猶予措置や一部の事業・業務に対する適用猶予がなされています。
この猶予措置及び適用猶予は、前者は2023年4月1日に、
後者は2024年4月1日に廃止されます。
今回は廃止後の取り扱いや対象事業等について説明いたします。


月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の見直し

現在、大企業においては、1カ月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合には、
その超えた時間の労働について、法定割増賃金率を5割以上とすることとされております。
2023年4月1日からは中小企業も対象になります。


割増賃金率は以下のとおりとなります。
・時間外労働(60時間以下)
 1、2、4、5、8、11、12、13、16、18、22、23日=25%
・時間外労働(60時間超) 24・30日=50%
・法定休日労働 7・28日=35%

時間外労働の上限規制の適用猶予・除外の廃止

現在、一部の事業・業務については、時間外労働の上限規制の適用が猶予
または除外されておりますが、当該猶予措置が2024年4月1日に廃止される予定です。

●時間外労働の上限規制(原則 45時間/月、360時間/年)
 改正前の上限は超過しても行政指導にとどまりましたが、上限時間が明確に法規され、
 違反した場合には罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科される可能性があります。
 ※臨時的な特別の事情がある場合の上限規制(労使合意が必要)
  100時間未満/月、720時間/年、複数月平均80時間
  時間外労働45時間超/月は年6回までに限る
  *時間外労働と休日労働で算定

●適用猶予・除外の事業及び業務
 ・自動車運転の業務、建設事業、医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業
  ⇒2024年4月1日に上限規制適用
 ・新技術、新商品等の研究開発業務
  ⇒医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、
   時間外労働の上限規制は適用しない

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2021年1月1日発行 マロニエ通信 Vol.215より≫
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