2021年01月14日 (木)

男性の育児休業について

イクメン、イクボス、パタハラ...
男性の育児に関連する言葉を聞くようになって久しいですが、
男性の育児休業取得率は政府が掲げる令和7年度目標30%に対し、
令和元年度の実績は7.48%と未だ低迷している状況です。
去る9月29日、政府の検討会において、男性の育児休業取得推進に向け、
出生直後の休業取得の促進、休業の分割取得等が提案されました。
そこで今回は、男性の育児休業取得推進のために創設されている現行の制度をおさらいいたします。



育児休業制度

育児休業制度(以下、育休)とは、育児・介護休業法に基づく休業制度のことで、
原則として1歳に満たない子どもを養育する従業員が
仕事を続けながら子育てをする権利が保護されています。
男性の場合は、配偶者の出産予定日から子どもが1歳に達する日
(1歳の誕生日の前日)まで取得できます。
男女問わず、1人が取得できる育休期間は最長1年間(女性の場合は産後休業期間を含む)です。
なお、いわゆる産休とは、出産前後の母体保護の観点から労働基準法で定められた
産前産後休業(産前6週・産後8週)のことです。

法律で定められた制度ですので、従業員から申し出があった場合、
会社がそれを拒むことはできません。
また、育休を申し出たことや取得したことを理由として
解雇などの不利益な取り扱いをすることも禁止されています。

「パパ・ママ育休プラス」利用で育休期間の延長
(同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例)

「パパ・ママ育休プラス」は、子どもが1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)
までの1年間を育休の取得可能期間とする原則に対し、
夫婦ともに育休を取得することで、子どもが1歳2カ月に達するまで育休を取得できる特例です。
これにより、夫婦が交代で切れ目なく育休を取得したり、
夫婦で共に、長期間の育休を取得したりすることが可能になります。
ノルウェー、スウェーデン、ドイツ等における「パパ・クォータ制」、「パパの月」などと類似の制度です。

●取得要件
①育休を開始しようとする労働者(以下、本人)の配偶者が、
 子どもが1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)以前において育休を取得していること
②本人の育休開始予定日が、子どもの1歳の誕生日以前であること
③本人の育児休業開始予定日が、配偶者が取得している育休の初日以降であること

「パパ休暇」利用で2回目の育休取得
(出産後8週間以内の父親等の育児休業に関する特例)

現行制度では、育休の取得は原則1回まで(連続したひとまとまりの期間で取得)ですが、
下記要件を満たすことにより、再度育休の申出をすることができ、
配偶者の出産後の心身ケアや職場復帰をサポートできます(2度目の取得も育児休業給付金の対象) 。

●取得要件
子どもの誕生日から起算して8週間を経過する日の翌日までに育休を開始し終了していること

今回ご紹介した制度の他に、育児休業給付金制度、
社会保険料免除制度や養育特例制度などももちろん男性にも適用されます。
法改正に向けては冒頭の検討案のほか、事業主への育休申出期限の短縮、
社会保険料免除の特例的な取り扱いや個別労働者への周知義務などが提案されており、
引き続き今後の動きに注目です。
「仕事も子育ても、どちらも楽しみたい!」という価値観を持つ男性が増えてきています。
ワーク・ライフバランスの向上のためには、法整備だけではなく、
その認知と社内の体制づくりが必要不可欠です。
取得への働きかけの前に、まずは男性が育休を取得しやすい職場環境の
見直しから始めてみてはいかがでしょうか。

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2021年1月1日発行 マロニエ通信 Vol.215より≫
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