2020年12月10日 (木)

70歳までの就業確保措置 令和3年4月から努力義務へ

現行の高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保を義務としていますが、
令和3年4月1日より、働く意欲がある高年齢者が活躍できる環境整備を図ることを目的として、
65歳までの雇用確保義務に加え、70歳までの就業機会確保が努力義務となります。
本号では改正のポイントを解説致します。



対象となる事業主と措置

●対象事業主
・定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
・65歳までの継続雇用制度(再雇用・勤務延長制度等)を導入している事業主
  ※70歳まで引続き雇用する制度を除く

現行法では60歳未満の定年を禁止し、65歳までの雇用確保措置
(65歳までの定年引上げ、定年制の廃止、もしくは65歳までの継続雇用制度のいずれかの措置)
を講じることを義務付けていますので、実質的に全ての事業主が対象となります。

●対象措置
下記のうちいずれかを選択、もしくは複数を組み合わせて措置を講じる必要があります。


高年齢者就業確保措置のポイント

●他企業での再就職支援(③70歳までの継続雇用制度)
現行法における65歳までの継続雇用制度では自社や特殊関係事業主
(親・子法人、関連法人等)を継続雇用における対象事業主としていましたが、
改正後は、65歳以上の者については自社や特殊関係事業主に限らず
他企業で継続雇用する制度も可能とし、広く就業機会の確保を図れる仕組みになります。

●フリーランスや社会貢献従事者への支援(④⑤創業支援等措置)
高年齢者が希望するときには、定年後や65歳までの雇用終了後に、
70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度や社会貢献事業に従事できる制度の導入といった、
雇用によらない措置を取ることもできるようになります。
※創業支援等措置を取る場合は過半数労働組合等の同意が必要です。
その他詳細は以下をご確認ください。
《厚生労働省HP》


努力義務への対応

今回の改正は努力義務であるため、令和3年4月1日時点でいずれかの措置が
実行されていなければ直ちに指導の対象になるということではありません。
自社での高年齢者のニーズや能力を活かせる措置を検討し、
実施に向けた取り組みを進めていくことが重要です。
また、対象となる事業主に対して一律に適用される努力義務であるため、
現在高年齢者を雇用していない場合においても高年齢者就業確保措置を講じるよう努めることが必要です。

—————————————————————————————————-
2020年12月1日発行 マロニエ通信 Vol.214より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie