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「副業・兼業の促進に関するガイドライン」における労働者災害補償保険法が
令和2年9月1日より改正されます。
改正法の施行日(令和2年9月1日)以降に複数の会社で雇用されている労働者、
特別加入者が対象となります。
[Point1] 変更点① 賃金額を合算して保険給付額等を決定
●現行の制度
労働災害が発生した勤務先から受ける賃金額のみに基づき保険給付額等を算定する
(例) 勤務先A:賃金20万円/ 月、勤務先B:賃金15万円/ 月
勤務先Aで事故に遭い、勤務先A・B 両社を休業した場合
⇒休業補償給付の額は、勤務先Aからの賃金20 万円を基に算定されます。
●改正後
すべての勤務先から受ける賃金額を合算した額に基づき保険給付額等を算定する
※対象となる給付は、休業(補償)給付、遺族(補償)給付や障害(補償)給付などです。
(例) 勤務先A:賃金20万円/ 月、勤務先B:賃金15万円/ 月
勤務先Aで事故に遭い、勤務先A・B 両社を休業した場合
⇒休業補償給付の額は、勤務先A・勤務先B からの賃金を合算した賃金35 万円を基に算定されます。
[Point2] 変更点② 負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価
●現行の制度
それぞれの勤務先ごとに負荷を個別に評価して労災認定ができるかどうかを判断する
【脳・心臓疾患の認定基準】
発症前一か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合は、
業務と発症との関連性が強いと評価できる。
(例)勤務先A:週40時間勤務、勤務先B:週25時間勤務 脳・心臓疾患を発症した場合
⇒単一の勤務先ではないため、100時間を超える時間外労働とは認められず、
A・Bともに、業務と発症との関連性が強いとは評価されません。
●改正後
それぞれの勤務先ごとに負荷を個別に評価して労災認定できない場合は、
すべての勤務先の負荷を総合的に評価して労災認定できるかどうかを判断する
[Point3] 申請方法について
単一の勤務先で労災申請をする場合、請求者が事故に遭った勤務先(勤務先A)からのみ
賃金額や負荷に関する証明を受けて支給や不支給の決定が行われています。
改正により、もう一方の勤務先(勤務先B)からどのように賃金額や負荷を確認するかについては、
今後告示により明らかにされる予定です。
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≪2020年9月1日発行 マロニエ通信 Vol.211より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie