2020年03月19日 (木)

国境を越えた人材移動と会社間契約

人材がグローバルに移動する時代となり、外国人社員の雇用でも、日本人社員の海外赴任でも、
色々なパターンが存在するようになりました。
弊社が扱う案件で特に増えているのが、資本関係のない会社との人材の往来です。
例えば、海外赴任する場合であれば、親会社や子会社・関係会社または支店に勤務する場合が多いものの、
取引先等の資本関係がない海外法人に出向するケースが増えています。
同様に、外国人材が日本で就労する場合でも、大学卒業直後に採用される以外では、
海外の親会社または子会社等から企業内転勤の形で来日する社員が多いものの、
やはり取引先等の海外法人から日本の会社に出向してくるケースが増加しています。
 このような場合、会社の人事部門としては、何に留意すべきなのでしょうか。
共通して言えるのは、出向元と出向先の法人間で、しっかりした契約を締結しておくことと考えます。

 

 海外赴任の場合では、会社は海外赴任規程を作成すると共に、海外赴任先での労働条件を
定めた出向契約書または覚書を出向者との間で取り交わしますが、これに加え、
出向元の日本の会社と出向先の海外法人との間で、労働条件や経費の分担について
確認する契約書を結んでおくことが重要
です。
例えば、給与や各種経費について、どちらが何を負担し、どのように支払うか
(本人に直接払うのか、相手側法人に払うのか)について予め合意しておき、
後ほど揉めないようにしておくのです。
そしてこの会社間契約書は、海外赴任規程や出向契約に規定している項目全てを
カバーしている必要はありませんが、少なくとも矛盾がないようにしなければなりません。
 同じことは、外国人材を日本の会社で出向先として受け入れる場合にも当てはまります。
当該外国人材と雇用契約を結びますが、同時に、それと矛盾のない形で、出向元の海外法人との間で、
労働条件や経費の分担について合意して契約すべきということになります。

会社間契約作業は、親子会社のように資本関係があれば、阿吽の呼吸もあり、
事後の調整もやりやすいですが、資本関係がないのであれば、重要な事項は書面で
しっかり事前に合意しておかなければ、トラブルの基となります。

 特に初めての事案となると、社内調整と相手側法人との合意形成に、かなり時間がかかります。
スムーズな海外赴任や外国人材受け入れのためには、経験豊富な専門家の助言を得ていただきたいと思います。



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2020年3月1日発行 マロニエ通信 Vol.205より≫
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