2020年03月12日 (木)

賃金債権 ~労基法改正~

 2020 年4 月施行の改正民法で賃金に関する債権の消滅時効が
原則5 年になること等をふまえ、労働基準法(以下:労基法)の
一部を改正する法案が国会に提出され、民法とあわせてこの4 月
の実施を目指しています。

[Point1] 賃金債権とは

労基法115 条:賃金(退職金を除く)、災害補償その他の請求権は2 年間、
退職手当の請求権は5 年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

残業代等の未払いがある場合等、過去遡って請求できる期限は2 年となっています。

[Point2] 改正の背景

 旧民法における賃金請求権の時効は、一般債権と同じ2 年間(退職金は5 年)でしたが、
賃金を含む一般債権の時効が5 年に延長されることとなりました。
 本来であれば、労基法も同様に改正されるものですが、企業経営の負担等を考慮し、
当面の間3 年の消滅期間が経過措置として講じられることとされています。
 労基法は労働者保護のため優先して適用されるものですが、労基法の方が期間が短くなってしまう
「ねじれ」が生じることになります。


[Point3] 労基法改正内容



 成立後は、2020 年4 月以降に支払われる賃金が対象となります。
災害補償や年休等の請求権は、現行の消滅時効期間(2 年)が維持されます。
さらに今夏以降、5 年を軸に消滅時効期間の延長年数などが議論されることになりそうです。
現行の下では実際に未払い賃金の請求ができないまま債権が消滅してしまうケースも発生しており、
今回の改正による動向が注目されます。

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2020年3月1日発行 マロニエ通信 Vol.205より≫
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