2015年12月03日 (木)

永世中立国スイスに学ぶ、日本人の覚悟とは

こんにちは、アーク&パートナーズ代表の黒川です。
この秋に所用で2度目のスイスへ行ってきました。スイスと言えば
アルプスの少女ハイジ、チョコレート、フォンデュー、時計といった
イメージでしょうか。
メルヘン的な風景を思い出される方も多いと思います。
もちろんイメージ通りの国であることに間違いありません。

swiss

ところがヨーロッパの中心に位置するこの国は人口900万人のEU非加盟の
「永世中立国」という別の顔も持っています。
永世中立国と聞くと非武装中立の国と思われている方も多いかもしれませんが、
スイスは武装独立を基本とした国民皆兵制の武装中立国家です。

 

各家庭にはシェルターがあり、銃も配布されるうえ、橋や道路などの
公共施設も有事の際に軍事転用を可能にするまで工夫されています。
これには「自分たちで国を守る」という意識が徹底されていることが背景にあります。
もし兵役訓練を受けなければ国籍が剥奪の可能性もある徹底ぶりです。

 

また、移民の受け入れについても近隣国とは異なります。移民人数に上限を設け、
全面的受け入れというわけでありません。
国内で必要なスキルを持っている場合など、限定的にしか受け入れていません。
さらに、宗教についてもイスラム教の教会であるモスクのミナレット部分の
高さ制限や新しいミナレットの建設を禁止しています。
宗教的な問題になるのではと考えてしまいますが、スイス人にとって
宗教の問題ではなく景観と騒音の問題です。

 

つまり、スイス人は自らの生活や環境を守るために何が必要で、
何を受け入れ、何を制限すべきかを判断しています。
この考えが根本にあるため他国からの批判にも左右されることはありません。
そこには永世中立国という選択をした国の覚悟が感じられました。
自らの国は自らが守るしかない、決して綺麗ごとだけでは守れないことを知っています。

 

そこで私は「日本人こそスイス人の覚悟を見習うべきではないか」と感心しました。
なぜなら日本は安全保障、原発問題、人口減少などスイスよりも大きな課題を抱えています。
そのためにどんな覚悟を持っているのか? ゆっくり過ごそうと思っていた私に、
スイスの友人たちが難題を突きつけてくれたような旅でした。

 

スイス