2015年06月18日 (木)

国際課税には注意を。

こんにちは、アーク&パートナーズの成田です。

 

日本国内における「居住者」と「非居住者」の扱いの違いは、
国際課税における基本問題の一つ
です。

有名な「武富士事件」では、受贈者が「居住者」「非居住者」という争点を巡って、
何と1600億円を超える税額が争われた裁判でした。
(最終的には最高裁で「非居住者」と認定され、非課税となりました)

 

本来「居住者」は全世界からの所得に課税、「非居住者」は
その国に源泉のある所得のみに課税されるというルールで運用されており、
これは米国の税法でもそのように規定され、グローバルスタンダード的な考え方と言えます。

しかし、一方日本には独特な所得税法規定が存在します。その日本特有の規定とは、
「居住者」をさらに「永住者」と「非永住者」に分けるというものです。

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つまり「永住者」は全世界所得に課税され、「非永住者」は日本に源泉のある所得に加え、
海外に源泉のある所得のうち日本で支払い又は日本に送金がなされたものに課税されるという規定です。

この「非永住者」に該当するのは、日本国籍を有しておらず、過去10年間で日本に住んでいた期間が5年以下の人です。

 

例えば外資系企業の日本における代表者が外国人で、本国と日本を行ったりきたりしているような場合、
いつの間にか過去10年中5年の限度を超えて日本住んで税法上「永住者」となり、
その時点から本国や第三国での所得にも課税されてしまうリスクがあるということです。

 

「日本に住んでいたかどうか(住所または居所を有するといいます)」は、住民票の有無といった形式だけで
判断されるのではなく、家族の帯同の有無やビザの種類などの実態から総合的に判断されます。

「居住者」「非居住者」の区別は一見簡単に見えますが、判断を誤ると大きな税額の追徴に結びつきます。
税務当局に対し堂々と主張できるよう、記録をきちんと残しておきましょう。