海外派遣の社会保険実務ポイント

2019年9月1日から日本の最大海外進出先の一つである中国との「日・中社会保障協定」が発効されました。
今回は中国を例として海外へ進出するときに必要となる社会保険の手続きを再度確認しましょう。


[Point1]  社会保障協定の目的と手続き

①年金受給資格を確保するために、両国の年金制度への加入期間を通算することにより、
年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくする
(年金加入期間の通算)

※日・中社会保障協定では(年金加入期間の通算)についての規定は含まれていません。
国によって異なるので、注意が必要です。

②「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する
(二重加入の防止)

●二重加入防止の社会保障協定における適用調整のルール
本来は社会保障協定により、就労している国(中国)の年金制度のみに加入することが
原則となります。
ただし、雇用主により相手国に派遣された被用者については、例外的に派遣開始日から
5年間は必要な手続きをすることにより、派遣元国(日本)の年金制度にのみ加入する
ことができます。

《例:日本の企業に勤務する人が中国に派遣される場合》

●協定発効前から派遣されている者の対応
既に中国に派遣されている場合、協定発効日(2019年9月1日)を起算点として
5年間は、中国の年金制度の加入が免除となります。

●手続きの流れ



[Point2]  介護保険の適用除外の手続き

転勤により日本国内から外国へ転居した場合は健康保険組合、年金事務所に
「介護保険適用除外等該当・非該当届」を提出すると介護保険料が免除・適用
されることになります。
提出する際は添付資料として住民票の除票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)の提出が必要です。

社会保障協定は派遣される国によって適用のルールが異なるため、派遣前に確認をしましょう。

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2019年11月1日発行 マロニエ通信 Vol.201より≫
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