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平成30 年度の労働基準監督署が企業に行った監督指導における賃金不払残業の是正結果が
厚生労働省より発表されました。
その結果、監督指導を受け、不払いの割増賃金を100 万円以上支払った企業数は1,800 社近くにも
達していることが分かりました。
今後も賃金不払残業を無くすべく労働基準監督署は監督指導を行うものと考えられますので、
今回は賃金不払残業とならないための主なポイントを確認していきます。
[Point1] 労働時間の適正な把握と運用ルールの確立
1点目のポイントは、従業員が労働した時間をいかに正確に把握し運用ルールを確立するかです。
そのために行うべき対応は複数ありますが、ここでは労働基準監督署の監督指導があった企業の対応事例を元に説明します。
事例1 <業種:小売業>
概要:タイムカードにより労働時間管理を行っていたが、タイムカード上の打刻時間と
入退館記録に乖離があったため確認したところ、実際には打刻後も業務を行っていたもの。
対応:①生体認証による労働管理システムを導入
②労働時間の管理方法の社内ガイドラインを作成し、全社員へ周知
③上記システムの記録と入退管記録に乖離があった場合、部署の管理者へ の書面指導を実施
事例2 <業種:金融業>
概要:従業員の自己申告制により労働時間管理を行っていたが、自己申告記録とパソコンの
ログ記録等に乖離があったため確認したところ、実際には申告外の時間に業務を行っていたもの。
対応:①労働時間管理をICカード打刻に変更
②支店長会議にて経営陣から各支店長に対し労働時間管理の重要性を説明
③労働時間管理の抜き打ち監査を実施
両事例ともに共通していることは、
①労働時間を客観的なもので記録
②運用ルールの周知
③管理体制の確立
と言えますが、従業員が正確な勤怠打刻をしなければ、賃金不払残業が発生いたしますので、
いかに従業員に正確な勤怠打刻を習慣化させるかが最も重要といえます。
[Point2] 割増賃金の基礎となる賃金
2点目は割増賃金の基礎に何を含めるかです。原則、以下に列挙した手当以外は
割増賃金の基礎に含めなければなりません。
①家族手当
②通勤手当
③別居手当
④子女教育手当
⑤住宅手当
⑥臨時に支払われた賃金
⑦ 1 カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
ただし、①~⑦の手当類については支給実態が重要であり、上記名称であっても
支給実態が異なっていれば、必ずしも割増賃金の基礎から除外できるわけではありません。
詳細は以下をご参照ください<厚生労働省HP>
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/040324-5.html
労働基準監督署の監督指導等により賃金不払残業があったとされた場合、最大で過去2 年間分の
割増賃金を支払う必要があります。
そうならないためにも、この機会に自社の体制を確認されてはいかがでしょうか。
≪2019年10月1日発行 マロニエ通信 Vol.200より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie