2019年05月16日 (木)

労働条件通知書の電子化がついに解禁

今まで労働条件の通知書については原則書面での交付を義務づけてきましたが、

平成31年4月よりFAX・メール等でも通知できるようになりました。

[Point1] 改正内容

労働条件の絶対明示事項

A) 労働契約の期間

B) 有期労働契約の更新の基準

C) 就業場所・従事すべき業務

D) 始業・終業時刻、所定労働時間超えの労働の有無、休憩時間、休日、休暇、2交代制等に関する事項

E) 賃金の決定・計算・支払方法・賃金の締切・支払時期

F) 退職(解雇を含む)に関する事項

G) 昇給に関する事項

労働条件通知書の交付方法はどう変わるのか

<改正前>

A)からF)の事項に関しては労働者にとって非常に重要な情報となるため、

書面を交付することによって明示しなければなりません。

<改正後>

A)からF)の事項に関しては原則、書面の交付が必要です。

ただし、労働者が希望した場合は、以下のような方法で明示することができます。

・FAX

・E-メールやYahoo!メール、Gmail等のwebメールサービス

・LINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能 等

※ただし、出力して書面を作成できるものに限られます。

[Point2] 労働条件の明示電子化の3つのポイント

労働条件の明示の電子化を進めるにあたり、下記3点のことを注意する必要があります。

① 労働者が電子での交付を希望しているか

労働者が使用者に対し、口頭で希望する旨を伝えた場合も含みますが、

労使双方において労働者が希望したか否について個別にかつ明示的に確認することが望ましいとされています。

② 「受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信」を使用しているか

指定の労働者のみに通知するため、送付先を特定できる媒体で送ることが必要となります。

よって、第三者に閲覧させることを目的としている労働者のブログや個人のホームページへの

書き込みによる明示は認められません。

③ 「労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成」できるか

電子メール等により発行した労働条件通知書が、紙に印刷できるものでなければならない、ということです。

メール本文に打ち込むことも可能ですが、印刷や保存がしやすいよう、

添付ファイルで送ることが望ましいとされています。

また、労働契約の締結時に明示を怠ったり、労働者が希望していないにも関わらず、

電子メール等のみで明示することは、労働基準関係法令の違反となります。

最高で30万円以下の罰金となる場合もあるので、留意が必要です。

180604_0236済20190516



≪2019年5月1日発行 マロニエ通信 Vol.195より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie