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この4月1日より、働き方改革関連法が実施され、残業の上限規制や有給休暇の
取得義務化などが適用され始めています。
「同一労働同一賃金」もその中の重要な原則の一つですが、この流れを受けて、
直近では、正規・非正規労働者間の待遇差是正に関する注目すべき判決が相次いでいます。
一定の手当について契約社員にも支給されるべきとした、本年1月の日本郵政事件への大阪高裁判決などです。
今後、こうした判決・是正命令は、増加していくものと思われます。
ここで留意すべきは、「同一労働同一賃金」原則は外国人労働者にも適用されることです。
例えば労働基準法第3 条は、以前から、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、
賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と規定しています。
しかし従来、一部の外国人労働者の報酬は、実態として低く抑えられてきました。
一連の関連法は、外国人労働者にも日本人と等しく適用されますので、日本人と同じ業務を行いながら、
その報酬額が異なる場合は、合理的な説明が必要になります。
日本人と全く同じ待遇にしなければならないという意味ではありませんが、
契約期間、責任の大小、転居の可能性、緊急時対応の義務など、待遇差の合理的な説明が
できる必要があるということです。
また、技能実習生についていえば、従来から入管法や技能実習法において、
実習生を保護する規定がありましたが、その実効性は薄かったのが実情です。
しかし、失踪者の多発や国際的な批判の高まりから、保護規定についても、
今後は新たに発足した出入国在留管理庁の下での監督が厳格化する方向です。
例えば、技能実習法施行規則により、寄宿舎の寝室は原則一人当たり4.5㎡以上を確保すべきとされています。
狭い部屋に押し込めて実費を超える家賃を徴収するということは、許されなくなるでしょう。
外国人を安価な労働力とみなして雇用することは、もはやリスクとすら言えるでしょう。
一方、コンプライアンスに十分注意した上で良好な労使関係を結べれば、貴重な人材となりえます。
≪2019年5月1日発行 マロニエ通信 Vol.195より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie