為替には敏感に

日常生活では、あまり感じることのない為替変動ですが、国際ビジネスでは避けて通れません。

私事になりますが、私は以前、米系金融機関でマーケットに近い仕事をしておりましたので、

その当時は、為替レートには敏感でした。

特に銀行間取引では、一瞬のうちに巨額の資金が動きますので、胃が痛い思いをしながら毎日モニターを見ておりました。

税務会計や人事労務の仕事をするようになってからは、為替動向に毎日一喜一憂することはなくなりました。

それでもやはり、為替は重要だと改めて感じております。

これまた私事ですが、娘が米国に留学しておりますので、仕送り送金の際には、為替レートがとも気になります。

一般的には、輸出依存度の高いマクロ日本経済には円安が望ましい訳ですが、仕送りの際には円高を望んでしまいます。

また、先日報道された、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の特別背任容疑は、日産からの報酬が円建てだったため、

対ドル為替リスク回避のために為替オプション取引を会社に付け替えさせたことが発端でした。

一般人の感覚では、円建てであろうと十分大きな報酬を得ていた訳ですが、

ゴーン被告自身および米国で暮らす子ども達の生活はドルがベースであり、

その為替レート変動は、放置しておくには大きすぎるリスクだったようです。

そして、海外駐在員給与決定に関しては、為替動向は重要なファクターとなります。

海外給与の決定方式が、購買力補償方式であれ、併用方式であれ、為替が円安に振れると、

現地通貨換算金額は減少してしまい、駐在員にとっては大きな不満の基となります。

このデメリットを解消する方法は、大きく二つあります。

一つは、先物為替予約により、将来の為替レートを確定しておく方法。

経理部門に、駐在員給与分も為替約定を依頼します。

もう一つは、定期的に海外給与換算のための為替レートを見直す方法。

半年ごと、あるいは少なくとも一年ごとには為替レートを見直します。

この方法であれば、人事部門だけで、作業を完結できます。

経済のグローバル化と共に、人の動きも国境を越えつつあり、人事部門も為替と無縁ではいられないですね。

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≪2019年3月1日発行 マロニエ通信 Vol.193より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie