産業医の機能強化について

前回に続き、「働き方改革関連法」のうち労働安全衛生法の改正点に着目します。

今回の改正の目的のひとつに、産業医の役割を充実・強化し、事業者との連携を深めることがあります。

[Point1]産業医に対する「健康管理等を適切に行うために必要な情報」の提供を義務付け

産業医がより効果的な活動を行いやすい環境を整備するため、

事業者は産業医に対し必要な情報を提供しなければなりません。

・1か月あたりの時間外が80時間を超えた労働者の氏名およびその労働に関する情報

・労働者の業務に関し産業医等がその労働者の健康管理に必要と認める情報

※すべての労働者が対象となります。

 

[Point2] 面接指導の対象となる労働者の要件の変更

労働者から申し出があった場合に、事業者は医師の面接指導を行う必要があります。

医師の面接指導の対象となる時間外労働が100時間から80時間に改正されました。

※36協定の上限規制対象外の方などでも、100時間を超える場合は対象になります。

 

[Point3] 産業医による勧告と記録の保存

労働者の健康確保に関し産業医から勧告を受けた事業者は、勧告と措置の内容を記録し、

3年間保存することが義務づけられます。

また産業医は、勧告をしようとするときはあらかじめその内容について事業者の意見を求めなければなりません。

産業医の機能強化の流れは、過重労働やメンタルヘルス対策が根底にあり

これまで以上に労働者の労働時間の適切な把握と管理が重要になってきます。

産業医の確保や活用と同時に、より一層そのことを意識する必要があります。

なお、産業医の選任義務のない中小企業については、

地域産業保健センター(監督署管轄区域に設置)にて保健指導などを受けることができます。


2019年2月1日発行 マロニエ通信 Vol.192より≫
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