「労働時間の客観的な把握義務化」への対応について

これまで、「働き方改革関連法」に関して「時間外労働の上限規制」、

「年5日の有給休暇取得義務化」等の労働基準法関連の改正点を取り上げてきました。

今回は今年4月に施行される改正労働安全衛生法の「労働時間の客観的な把握義務化」について解説をいたします。

[Point1]対象者の拡大

今回の改正では労働時間を把握する方法だけでなく、

労働時間を把握しなければならない対象労働者の範囲も拡大されました。

<従来の対象者>

管理監督者、みなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、

みなし労働時間制が適用される時間に限る)を除くすべての労働者

<今後の対象者>

管理監督者、みなし労働時間制が適用される労働者も対象に追加

ただし「働き方改革関連法」で新設される「高度プロフェッショナル制度」適用者は対象外

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[Point2]労働時間の客観的な把握とは

これまでも事業者が労働者の労働時間を客観的に把握するための方法ついてのガイドラインはありましたが、

法律には明記されておりませんでした。それが今回の改正により労働安全衛生法等に以下の内容が明記されることになりました。

・改正労働安全衛生法第66条の8の3

事業者は、第66条の8第1項又は前条第1 項の規定による面接指導を実施するため、

厚生労働省令で定める方法※により、労働者(次条第1 項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

※厚生労働省令で定める方法とは

 タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の

 客観的な方法その他の適切な方法とする。(「改正労働安全衛生規則第52条の7の3」より)

現在、手書きのタイムカードや自己申告制で労働時間を把握している場合、

今後も同じ方法で労働時間の把握を行い続けることが難しくなります。

加えて、これからは「時間外労働の上限規制」、「年5日の有給休暇取得義務化」等にも対応していく必要がありますので、

場合によっては労働時間等の把握方法、管理体制を変えなければなりません。

この機会に現在の労働時間等の把握、管理体制を見直してみてはいかがでしょうか。

労働時間の客観的な把握義務化に関しては以下のHP をご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000335765.pdf 厚生労働省HP(働き方改革リーフレット)


2019年2月1日発行 マロニエ通信 Vol.192より≫
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