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改正出入国管理法が成立しました。
新在留資格「特定技能」が注目されていますが、明細は政省令に委ねられており、
報道される内容も日々入れ替わっています。
一方、深刻な人手不足を抱える現場では、不確定要素の多い新資格制度の開始を待っていられず、
既に確立した制度である「技能実習生」に対する採用ニーズが、改めて高まっていることを感じます。
劣悪な労働環境や失踪事件、あるいは集団犯罪といった
ネガティブなイメージがメディアでは誇張されて報道されていますが、
日本人がやりたがらない、主に単純労働と呼ばれる職種の貴重な担い手として、
2018年6月末現在で約28万人の技能実習生が活躍しており、これは外国人労働者総数の約20%を占めています。
弊社でも、既に実習生を採用した、またはこれから採用したい、
というお話を、お客様から伺う機会が多くなってきました。
一方、これまで一般には馴染みの薄かった制度だけに、
社労士の視点から見ると、誤解が多いことも事実と思われます。
技能実習生は、以前は「研修生」と呼ばれ、労働基準法等も適用されませんでした。
しかし現在では、日本人と同じ労働関連法規が適用されており、
受け入れ企業は、少なくとも最低賃金は支払わねばなりませんし、
残業させれば適正な残業代を支払う義務も負います。
そして、適用事業所であれば、該当者は社会保険に加入させる必要があり、
これにより実習生は、帰国後に厚生年金の脱退一時金を受け取ることができることになります。
また、技能実習制度全般に関する支援機関である、公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)が、
実習生の労働環境に関するガイダンスを発表しており、その中で、
①途中帰国などによる労働契約の不履行に関する賠償額の予定の禁止
②労働契約に付随した強制貯蓄の禁止
③宿舎の寝室は1人あたり4.5m2以上を確保すること
などを定めています。
これからの技能実習生の雇用においては、コンプライアンスこそが、Win-Winの関係を構築する基礎となります。
新しい年を迎えるにあたって、「特定技能」資格とも合わせ、
新しい外国人雇用のあり方を検討されてみてはいかがでしょうか。
≪2019年1月1日発行 マロニエ通信 Vol.191より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie