2018年06月07日 (木)

なぜ有休取得率が上がらない?新たな制度の導入より根本的な見直しを

以前から日本では有給休暇の取得率の低さが問題になっているものの、なかなか改善が見られません。

取得できない原因には、長時間労働や仕事の忙しさもありますが、

意識の問題が大きいのではないでしょうか。

「周りが取っていないから」、「遊ぶために取るのは後ろめたいから」など、

有休を申請しにくい雰囲気や、空気を読むことで自分の首を絞めてしまっていることも大きいと考えられます。

 

そこでニュースになったのが、パナソニックが労使交渉の検討に入ったという

「一時間単位で有休を取得できる制度の導入」です。

パナソニックでは既に「ファミリーサポート制度」として、

家庭の事情のために半日単位で有休取得ができる仕組みがあるそうですが、

それを一時間単位に変更することで、より取得率が向上するであろうという見込みのようです。

 

そもそも有給休暇とは、「労働者の疲労回復、健康の維持・増進、その他労働者の福祉向上を図る」ため法律で定められた休暇です。

育児や介護、個人的な用事など「それなら休まなきゃならないよね…」と周りに思われながら休ませてもらうのが有休ではないのです。

理由なくとも休めるもの。自由に使えるはずの休暇なのです。

 

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しかし現実はそうではない。

理由が必要であったり、周りの目が気になるからと言って取りにくいために、取得率の低さが問題になったままなのです。

 

これが時間単位で使えるようになったらどうなるでしょうか。

病院に行くため、家族の見舞いに行くため、役所に寄るためなど、

少し遅く出勤したり少し早く帰ったりできるでしょう。

しかしそれこそ、はっきりとした用事がなければ使えない休みとなってしまいます。

また、社員の有休の管理が煩雑になります。

今までは「残り日数〇日」で済んだものが、

「残り〇日と△時間」に変わり、申請の数も増えるでしょう。

管理側の作業は莫大になるはずです。

 

有休取得率改善のために時間単位取得という新しい仕組みを作る前に、

有休取得は正しい権利として申請できる環境づくりをするべきですし、

政府の働き方改革だけに頼るのではなく、

それぞれの会社に合う有休取得率向上の意識改革をしていくべきなのです。