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日本の医療レベルと健康保険制度は、国際的に高い評価を得ています。
国民皆が、良質な医療サービスをリーズナブルな自己負担額で受けられることが、
国際的に知られていると言えます。
そして残念ながら、外国人がそこにつけこんだケースが数多く報道されています。
例えば、日本で勤務する外国人が、
本国に住む「家族」を扶養に入れたうえで、病気治療のため一時的に日本に呼び、
高度な医療を受けさせたうえで、3割または上限額までの自己負担のみを支払って、
「家族」は帰国させるというものです。
さらには、日本の健康保険制度に加入するために日本に滞在する外国人すら出現しています。
具体的には、日本で起業する手続きをとって「経営・管理ビザ」による中長期滞在資格を取得し、
協会けんぽ等に加入するのです。
これを請け負うブローカー/専門家が存在します。
この現状を重く見た日本政府は、対応策を取り始めました。
本年3月に、厚生労働省/日本年金機構は、
海外居住の家族の扶養認定を受ける場合の条件を、一気に厳しくした内容を発表しました。
これまでは、基本的に被保険者の自己申告に任せていましたが、今後は
①現況申立書
②身分関係の確認ができる公的書類
③生計維持関係の確認ができる書類
の添付が求められるようになりました。
一見すると税扶養と揃えたともえますが、
①で税扶養認定にはない書類(現況申立書)の作成が求められ、
③では送金確認書類のみならず、被扶養者の収入状況の証明書類まで求められていますので、
税扶養認定より厳しいとすら言えます。
収入状況の公的な証明書は存在しない国も多数ありますので、
実務的にどのように扱われていくか、留意が必要となります。
これは悪用されるケースを防ぐためではありますが、
海外に扶養家族のいる日本人、日本に単身赴任する外国人企業幹部なども、影響を受けてしまうことになります。
日本の優れた制度も、国際化の波の中で、試行錯誤を避けられない時代になってきました。
≪2018年5月1日発行 マロニエ通信 Vol.183より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie