2018年04月19日 (木)

仕事はどこでするべきか

働き方改革の一環として、自宅などオフィス以外の場所で働く

リモートワーク(またはテレワーク)が注目を集めており、

我が国政府も積極的な導入を呼びかけています。

一般に、リモートワークは、情報セキュリティと限定的なコミュニケーションがネックと言われていますが、

先ずは試してみるというケースが、日本でも大企業から中小企業まで拡がっているようです。

 

そこで、リモートワークの本場であるアメリカの事情を調べてみたところ、

特に最先端ともいえるIT業界に関し、興味深い話をいくつか発見できました。

ギャラップ社の調査(2017年)では、米国人労働者の半数近くが、

就職する際には、リモートワークによる柔軟な働き方ができるかどうかを重視する、と回答したそうです。

PC大手のデル社では、約11万人の従業員のうち、既に58%が週1回はリモートワークを行っていますが、

2020年までに50%の従業員が週半分はリモートワークできるようにすると発表し、話題を呼びました。

また、最近注目を集めているのは、企業と会社の中間とも呼べるコワーキングスペースを活用する事例です。

例えば、マイクロソフト社は、WeWork社の提供するコワーキングスペースを利用しています。

 

コワーキングスペース

 

一方で、逆の動きが見られることも、注目されます。

IBM社は、長年リモートワークを推進してきましたが、

2017年に制度自体を廃止し、従業員にオフィスで働くか退職するかの決断を迫りました。

また、ヤフー社も、フルタイム従業員の約25%がリモートワークを利用していましたが、

在宅勤務を禁止し、オフィスでの勤務を義務付ける方針を発表しました。

この両社に関していえば、「チームワーク・一体感の欠如」

「思ったような不動産賃料等コストの削減につながらなかった」ことが原因だそうです。

そして、グーグル社は、当初からオフィス外での勤務を許可しておらず、

その代わりに、社内に無料のカフェテリアなど、生活が完結できるような福利厚生を完備しています。

 

リモートワークは、世界的な潮流ではありますが、アメリカでも試行錯誤中です。

「仕事はどこでするべきか」は、

日本でも各企業の実情とポリシーに合わせ、徐々に変化していくのではないでしょうか。

 


≪2018年4月1日発行 マロニエ通信4月号 Vol.182より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie