2018年03月01日 (木)

「長時間労働の是正」は働き方改革の手段であり、ゴールではない

皆様の会社では具体的な「働き方改革」が進んでいるでしょうか。

あえて“具体的な”としたのは、働き方改革を目に見えるものであると捉えているか、

それとも目に見えないものだと捉えているか。

最近はそれが気になっています。

 

政府が働き方改革として打ち出した柱は二つ。

「長時間労働の是正」と「同一労働・同一賃金」です。

 

このうち長時間労働については、たしかに定められた時間を超える労働は問題であり、

長時間の残業や休日出勤など無理やり強いられた労働は苦痛となり、精神に悪影響を与えるでしょう。

 

しかし全ての人が、快適に整った環境で、人間関係も良好、

自分の希望する内容と時間だけ働くことがいつでも可能かというと、難しいのが現状です。

難しいことを理由に、それを目指さなくて良いと言っているのではありません。

実際の社会では、新しい事業の立ち上げ時期や、思わぬトラブルへの対応、

まだ経験が浅い頃など、時間と労力がいつも以上に必要とされる場合があります。

また、スキルアップのために自ら働きたい場合もあります。

 

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つまり、長い時間働くことを一言で「長時間労働」と片付けてはいけない。

ましてや「長時間労働は悪である」「是正しなくてはいけないもの」と片付けるのは危険です。

 

問題なのは、長時間労働の先にあるもの。

例えば、長い時間を仕事に費やすことによって家庭がうまくいかなくなったり、

体や心を壊してしまったり、長時間労働がストレスに繋がることが問題なのです。

 

このように分解してみても、「長時間労働そのものは悪ではない」と解釈されてしまうと、

それはブラック企業のロジックだと言われてしまうでしょう。

しかし違うのです。

「長時間労働」に焦点を当てるのではなく、「ストレス管理」に目を向けることこそ、本来の働き方改革なのです。

そこを間違ってしまうと、完璧な時間管理により長時間労働が解消された時点で、

働き方改革が完了したと勘違いしてしまう。

労働時間が短くなっても、社員のストレスは別のところにあるかもしれないのです。

 

働き方改革は、労働時間の管理や在宅勤務の導入ではない。

それはあくまでも手段です。

真の働き方改革は、ストレスを抱えることのない労働環境を整備することです。

ストレス管理の中の一つに、労働時間の管理があるだけなのです。

 

手段の一つにだけ目が行って、本来の目的を見失わないようにするためには、何より経営者のメッセージが必要です。

現状では、経営者が「働き方改革」を広範囲に捉えていて、

どこからどこまでが働き方改革なのかが見えておらず、言葉だけが独り歩きし、とても曖昧になっています。

 

ストレスの原因は人それぞれ。

その人の抱えるストレスが何なのか。

時間なのか仕事内容なのか人間関係なのか。

それを見つけ出さないことには、労働環境の改善にはなりません。

その必要性を経営者が正しく理解することが求められています。