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昨年のクリスマス前、米トランプ大統領が税制改革法案(TCJA)に署名し、
約30年ぶりの税制抜本改革が実現することになりました。
大統領選時の公約よりはマイルドなものになっていますが、
それでも米国税制全体の大幅な改革であることは間違いなく、
この早いタイミングで成立できたことに、多くの関係者は驚いています。
今回は、その内容と日本企業への影響について、考えてみたいと思います。
連邦所得税についていえば、最高税率は39.6%から37%に引き下げられました。
また連邦遺産税(日本の相続税)は、非課税金額が倍増され、1,120万ドルに。
つまり日本でいえば、約12億円の遺産まで相続税がかからないことになります。
トランプ減税が富裕層優遇である、と批判される根拠にもなっています。
では、日本企業に関係の深い、連邦法人税はどうなったのでしょうか。
今回の税制改正で最も注目された分野ですが、目玉は以下の2点とされています。
①法人税率をこれまでの35%から21%に一気に引き下げたこと、
②海外の子会社に留保された利益を米国に還元させる際、1回限りで低減税率課税する(現金なら15.5%)こと。
①は大きな変化で、アメリカの法人税率が先進国の平均5%を下回ることになります。
アメリカは既にほぼ完全雇用を達成していますので、これにより在米日系企業が設備投資や
雇用を大幅に増やすことは考えにくいですが、前向きに検討する要因にはなるでしょう。
②はトランプ大統領が強く訴えた政策ですが、
新法人税率が低く、低減税率との差が少ないので、
2005年のブッシュ減税のときのような大規模な還流は起きないと言われています。
よって、還流に伴うドル高効果は限定的で、日本企業が大幅に有利になるわけではないでしょう。
総合してみますと、今回の税制改革は大幅ではありますが、
景気の押し上げ効果や為替への影響は限定的と考えられます。
ただ、少なくとも短期的には、日本企業にとってもプラスの材料であることは間違いありません。
日本企業の対米進出が進むならば、弊社もご助力させていただく所存です。
≪2018年2月1日発行 マロニエ通信 Vol.180より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie