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※今回はインタビュー形式でお届けいたします。
-昨年からメガバンクの従業員削減案や、大手金融会社の業務量削減方針が明らかになるなど、
大規模リストラがニュースになっています。
既に転職市場には、元銀行員など大手企業での経験のある人材が増えているようですね。
これをチャンスと見る人と冷静に見る人とでは、現代社会そのものへの捉え方が大きく違うように感じます。
-採用者側としては「良い人材が採用できる機会」という見方もあるようですが。
「人材が採用しやすい機会」ではあるかもしれませんが、それが「良い人材」かどうかは別の話だと思いますね。
キャリアとスキルは比例するものではなく、もちろん会社が大きければスキルも高いというものでもありません。
普通に考えれば、会社は良い人材を手放したくないもの。
切迫した状況だからこそリストラをするのでしょうが、
会社を存続するのであれば、優秀な人材は残って欲しいですよね。
-その会社にとって良い人材はリストラ対象にはならないですよね。
優秀な人材は、リストラを行う会社に見切りをつけて自ら辞める決断をするでしょう。
そういう意味では、良い人材も転職市場に出てくるかもしれませんね。
大企業で働いた経験が次の職場で役立つことはあります。
しかしその経験が新しい職場で仇となることもある。
-大企業での経験が役に立つよりも害になる場合があると。
昔の日本の社会で大切にされたものの一つに、その会社のカラーというものがありました。
カラーはつまり、その会社でしか通用しない思考や役割、振る舞いです。
そのカラーに染まってしまった人は、転職活動において“自分のやってきたこと”を語りがちです。
しかし、新しい職場で必要なのはもちろん、“自分は何ができるか”です。
自分の名前ではなく、会社の名前で仕事をしてきた人は、
会社を失って初めて気付くでしょう。自分には何もないことを。
-転職活動の時に、自分の強みは大企業で働いたという経歴だけだったことを知る、という感じでしょうか。
そうですね。
そして、転職活動の際に“年収が下がらないこと”を重視して探す人は、
転職後のマインドリセットをうまくできない場合が多いものです。
新たな場所でのスタートなのだから収入よりも仕事に対する姿勢、覚悟があるかないかでは、
人材の質に大きな差があるのではないでしょうか。
結果的に得る収入が高いか低いかとは別の話です。
-イチから学ぼうとする心意気があるかどうか、働くことに対する姿勢が問われますね。
AIがこれほど注目されているということは、それだけ多くの“定型業務”が存在していることも表していると思います。
そして、その定型業務に就いていた人も多いのが現状。
キャリアが長くても、大企業であってもそれは存在します。
それが悪いことと言っているのではなく、時代とともに必要とされる仕事も人材も変化するのは当然です。
ある意味、大変な時代です。
-これからの時代、ビジネス上の長所となるポイントは何でしょうか。
会社で評価の高い人間というのは、その会社でだけ評価が高い人間かもしれない。
外に出たらまったく通用しない人材かもしれない。
会社側はそれを見極める目が必要で、労働者側は会社の名前やキャリアに頼ることなく、
自分の名前で生き残れるようにならなくてはいけない。
幅が広く、引き出しの多い人間になれるよう準備することが大切です。