2017年09月28日 (木)

日本人家政婦という世界

海外赴任者の処遇を決定する際によく参考にされる国連職員の生活物価指数(2016年8月時点)によれば、

東京を100とした場合で香港は109.5で東京を超え、シンガポールは84.6、北京でも81.0に達しています。

既に中国は国全体のGDPで日本を超えており、その急速な経済成長の一側面と言えるでしょう。

 

また、先月には、中国の富裕層に関する興味深い報道がなされました。中国政府がフィリピン人の住み込み家政婦への

就労規制を大幅に緩和し、上海など複数の大都市で受け入れる方針であり、例えば上海で就労する場合、

月額平均給与を1万3000元(約22万円)に設定する案を中国・フィリピン両政府が協議している、というものです。

シンガポール駐在の新聞記者の友人から、富裕層に一番人気のある家政婦はフィリピン人で月給も高く、

それは払えないという層が、マレーシア人、インドネシア人、ミャンマー人の順で雇うという話を聞きましたが、

それを裏書するような報道だと思いました。

 

家政婦_600

 

日本では、「家政婦」という就労ビザは存在せず、駐日大使館外交官や高度専門職の外国人などが雇用する

「特定活動」ビザが例外的に認められています。最近では、横浜など国家戦略特区において、

日本人の家庭でも就労できるようになりました。ただ、日本人で、20万円を超える月給を家政婦に払える世帯は

多くないのが現状です。つまり、国家全体のマクロのみならず、家計というミクロでも、

中国には相当数の富裕層が既に存在していることになります。

 

実際、私が仕事で接する中国の方々も、昔は政府関係者が殆どでしたが、最近では純粋なビジネスマンと呼べる

職種の方が増えました。そして彼ら/彼女らの多くは、欧米や日本の一流大学を卒業して、

高度な知識とビジネスマインドを持っています。そして日本には技術やサービスなどでまだまだ優れた点があるとして、

ある意味日本企業より積極的に日本企業に投資したり、日本人の雇用を行っています。以前は日本で日本人を採用する中国企業は、

飲食店などを除くと国営企業や大企業でしたが、最近はそれら大手に限られません。

 

在日中国人幹部の自宅で、日本人が家政婦として働くような将来は、目の前に来ているような気がします。