2017年06月15日 (木)

アメリカの在宅勤務(テレワーク)事情

先日、加藤信勝・働き方担当大臣の講演を伺う機会がありました。

その中で政府として在宅勤務を積極的に推進する旨の説明がありましたが、

まるで魔法の杖のような描写に、違和感を覚えました。

 

私事になりますが、カリフォルニアに留学している私の娘は一軒家をシェアして住んでおり、

その家主I氏はグーグル本社に勤めるエンジニアです。

グーグルは24時間利用可能なカフェテリアなど手厚い福利厚生で知られていますが、

I氏もまるで会社に住んでいるかのような勤務実態のようです。

また、2013年には米ヤフーが在宅勤務禁止令を出し、

本年3月にはIBMが在宅勤務の廃止を発表しました。

テレワークの本場とも言えるアメリカにおいて、世界最先端の大企業が、

なぜこのような動きをしているのでしょうか。

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元来アメリカでは、官庁、大企業から中小企業まで、テレワークは

「普通の働き方」として定着していました。

それには様々な理由がありますが、日本と比較しても大きな違いがあります。

日本においては、テレワークを導入するにあたり、

労働時間の管理と情報セキュリティへの懸念が最大の問題点とされています。

これに対してアメリカでは、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションにより、

多くのホワイトカラーが労働時間規制の適用除外となること、完璧とは言えないまでも

情報セキュリティはかなり高いレベルにあることから、これらの問題がクリアされているのです。

 

 

ところが、識者によれば、チームワークとそこから生まれるクリエイティビティが

重要な業務では、在宅勤務はかえって弊害になる、という結論だというのです。

個人の役割が明確で成果主義の度合いが高いアメリカ企業ですが、

チームワークということになると、職場で顔を合わせることが有効と

認識されているようです。

 

いま日本では、政府も積極的に在宅勤務を推進しているところですが、後になって振り返った際、

「欧米と比べて周回遅れだった」などと言われないよう、

チームワークという本来日本人が得意な分野を崩さない形で、

テレワークが導入されていくことを願っております。

 

国際業務推進チーム・ディレクター 米国税理士 成田元男