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昨年の大手広告会社の過労自殺問題を受け、政府は長時間労働抑制対策を本格的にスタートさせました。
これに先立ち、今年の1月に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
が公開されました。
以前からこのガイドラインの基本となる通達はありましたが、新ガイドラインにより、
具体的な内容が明示されました。
新ガイドラインのポイント
1.「労働時間の考え方」を新設
2.労働時間の「自己申告制」の対応について明文化
1.労働時間の考え方
労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、次のような時間は原則労働時間として
扱わなければなりません。ただし、下記以外でも使用者の指揮命令下に置かれていると判断される場合は、
労働時間として扱う必要があります。
(a) 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為及び後始末を行った時間
(b) 使用者の指示があった場合はすぐに業務を行うことを求められている待機時間(手待時間)
(c) 参加が義務づけられている研修、使用者の指示により業務に必要な学習を行った時間
2.労働時間の「自己申告制」の対応
自己申告制により始業・終業の確認及び記録を行う場合、使用者は次の措置を講じる必要があります。
(a) 自己申告制の対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、
適正に自己申告を行うことについて十分な説明を行うこと。
(b) 実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、
本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
(c) 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、
必要に応じて実態調査を実施し所要の労働時間の補正をすること。
(d) 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に
報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
(e) 使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、
上限を超える申告を認めない等、労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
今後、長時間労働抑制のために労働基準法等の改正が予定されています。
企業経営に影響を及ぼす可能性もあり、今後の動向を注視していく必要があると思われます。