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※今回はインタビュー形式でお届けします。
-時短勤務や在宅勤務、フレックスタイムなど多様な働き方が広がっていますが、
副業や兼業についてどのようにお考えですか?
結論から申し上げると、今後は増えていくと思います。
また、それを推奨する会社も増えるでしょう。
今は会社の規則として副業・兼業を禁止しているところが多いと思います。
主な理由は「会社の業務に専念できなくなるから」だとは思いますが、
そもそも厚生労働省の「モデル就業規則」で副業・兼業が原則禁止だったんですよね。
-国が原則禁止を謳っていたわけですね。多くの会社はそれに合わせていたと。
昨年末、先ほどの副業・兼業「原則禁止」を「原則容認」に変更するというニュースが流れました。
その理由は、少子高齢化による労働力不足を補い、
職業能力の向上で成長産業への雇用の流動化を促すため、とされています。
-副業・兼業によって人材不足を解消し、また、能力の高い人は様々な現場でその能力を活かそう、
ということでしょうか?
そうですね、既にビジネス環境は昔と比べて大きく変わっています。
例えばスマートフォンは現代のビジネスに大きな影響を与えています。
アプリを使えば個人がタクシードライバーになったり、
フリーマーケットで物を販売することができる時代です。
-たしかにそういったことも副業の一つになっていますね。
ビジネスの範囲や可能性は変化しています。
時代に合わせて副業・兼業を容認するというのは当然の流れだと思います。
また、終身雇用が当然ではなくなった今、
会社にとってもメリットのあることだと思います。ただ、課題も多いのが現状です。
-なぜ今、副業・兼業が注目されているのか教えてください。
昔の日本は終身雇用が当たり前の社会でした。でも今は違います。
正社員で働いていることが安定とは言えない時代です。会社が傾けば自分の人生も傾いてしまう。
個人のリスクヘッジとして副業・兼業を考えるのは当然の流れでしょう。
しかしメリットもあればデメリットもあります。
-メリットデメリットを「個人」「会社」それぞれの立場から教えてください。
個人としてはキャリアを増やして自身の可能性を広げることができます。
転職も容易になるでしょう。会社としては、社員のキャリアやスキルが伸びることは
人材価値が上がることでもあります。
また、終身雇用を求められなくなるのは会社の負担が軽くもなるでしょう。
個人のデメリットとしては、会社の成果主義制度がより明確になっていくことが考えられるので、
向上心に乏しい社員は生き抜くのが難しい社会になっていくかもしれません。
会社としては、副業・兼業によって社員が世間を見る機会が増え、
今の会社の良いところに改めて気付く一方、
悪いところが見えやすくなったりもします。情報流出も懸念されるところです。
-副業・兼業の仕組みに対する問題点はどのようなことが考えられますか?
例えば労働時間の考え方。残業代はどちらが払うのかという問題があります。
現状では、A社で働いた後にB社に移動して働き、法定労働時間である一日8時間を超えた場合、
B社が残業代を払うことになっています。B社での労働時間が短い場合でも、です。
社会保険の負担や労災の問題もあり、課題は山積しています。
-とは言え、副業・兼業のメリットは見逃せませんね。
はい。団塊の世代の一斉リタイアや少子化などによって今後人材不足に悩まされるのは目に見えています。
会社には多様な働き方を認める柔軟性が求められ、国や社会には具体的な仕組み作りが求められます。