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昨年は年央にBrexit(英国のEU離脱)が世界を驚かせましたが、
年末には不動産王ドナルド・トランプ氏が米大統領に当選し、激震が走りました。
日本の金融・証券市場では、選挙前に「もしトラ」(もしもトランプが大統領になったら)
というジョークが流行っていたそうですが、ジョークではなくなってしまい、
氏の一挙手一投足、固唾を呑んで見守っています。
国際社会が最も不安に感じているのは、世界最強の軍事力を背景に、
トランプ政権がどのような安全保障政策を打ち出してくるかでしょうが、
これは私の専門分野ではないので、今後の米国税制改革の方向性について
述べさせていただきたいと思います。
名門シンクタンクであるTax Foundationの分析によれば、トランプ陣営が昨年発表した
税制改革プランには、下記のような特徴があります。
①子育て費用の所得控除の拡大なども盛り込まれているが、総じて富裕層および大企業に有利なプランになっている。
②連邦所得税および連邦法人税を大幅に軽減すると同時に、課税ベースは拡大する。
(連邦所得税最高税率39.6%→33%、連邦法人税最高税率35%→15%)
③遺産税(日本の相続税に相当)を廃止する。
④法人の海外利益の米国還流は、10%のみの課税とする。
⑤これにより、連邦政府の税収は、10年間で約4~6兆ドル減少する見込みである。
⑥全ての所得階層の平均で、税引き後所得の増加が予想される。トップ1%の所得階層では、
最大約20%の税引き後所得の増加が予想される。
トランプ氏自身が’Tax Revolution for US Businesses’と呼ぶほどドラスティックな案になっており、
そのままでの実行は困難とも思えます。例えば、法人税率15%というのは、
日本のタックスヘイブン対策税制の対象になることを意味します。
それでも、8年間のオバマ政権とは全く方向性の異なる税制改革が試されることは確実です。
新年と共に、税の分野でも新しい世界に突入することになり、
対米進出日本企業への直接的な影響も避けられません。備えておきたいものです。