2025年06月26日 (木)

外国人労働者の定着

1.外国人労働者の定着率

筆者自身の経験として、外国人労働者が同一企業に定着する度合いは、低い印象でした。
厚生労働省の2024年度「賃金構造基本統計調査」によれば、
外国人労働者の平均勤続年数は3.3年となっており、
正社員全体の平均勤続年数12.8年と比べると、かなり短いことが分かります。

一方、技能実習生を雇用している会社からは、
「特に建設など現場のきつい職種では、日本人労働者より長く就労してくれる」
という声をよく聞きます。
公式の統計資料は見当たりませんが、職種や在留資格により、
外国人労働者の定着率が異なることは、あり得るでしょう。

別の視点からは、出入国管理庁が、2020年度「在留外国人に対する基礎調査報告書」において、
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を保有している外国人を対象とした、
興味深い調査統計を発表しています。

この統計では、「今後の日本での滞在希望」については、
「日本に永住したい」が52.1%、「10年程度は日本に滞在したい」が13.5%
という回答になっていますが、
「今後の仕事の希望」では、
「現在の職場で働き続けたい」が34.0%、「日本国内で転職先を見つけたい」が26.4%
という回答です。
日本に長く滞在したいという気持ちは強い一方、
今の職場にずっと在職するという意識は、それほどではないと言えそうです。

2.日本の就労環境の魅力と課題

少し古いデータですが、総務省の2019年度「高度外国人材の受入れに関する政策評価書」によれば、
「外国人材が挙げる日本の就労環境の長所・魅力」では、
周りの日本人社員が親切」が63.9%と、圧倒的に高い数値になっています。
次が「仕事のやりがい」で47.4%ですので、
高度人材では、仕事の満足度もある程度高いと言えるでしょう。

一方で、「外国人材が挙げる日本の就労環境の短所・課題」では、
キャリアパスが不明確」が27.6%で最も高く、
次いで「昇格、昇給の基準が不明確」で25.6%となっています。
海外企業では、優秀で実績を出していれば、
若くして管理職に昇進したり、報酬が大幅にアップしますが、
日本企業では、なかなかそうはならないことが、不満となっているようです。

あと、「外国文化・宗教に対する理解が不十分」という回答は2.5%と低いですが、
筆者の経験上は、かなり重要なポイントと感じています。
例えば、イスラム教の1日5回の礼拝は、
敬虔な信者にとっては、人生において最も優先順位の高いものです。

また、よく耳にするのが、日本の「まずは謝る」という文化への違和感です。
例として、「自分は悪くないのに、クライアントに謝ることを強要された」、
「ミスがあった時の始末書が、再発防止策の提案形式でなく、謝罪文形式で、プライドを傷つけられた」
というトラブルがあります。

3.外国人労働者の定着に向けて

弊社では、評価制度・人事制度の見直しの始めとして、
外国人労働者の定着に向け、お手伝いさせていただくことが可能です。
定着率を向上させることにより、貴社の一層のご発展に寄与できるよう、精進していく所存です。


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≪2025年6月1日発行 マロニエ通信 Vol.268より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie