2026年、人手不足の“質”が変わる

労働市場の変化

日本の生産年齢人口(15〜64歳)は、1995年の8,726万人をピークに減少が続き、
2023 年には7,395万人まで縮小しています。
一方で、就業者数は増加傾向にあり、
2023年の就業者数は6,747万人と、1990年代後半の水準を上回っています。

この背景には、高齢者、女性、障害のある方、外国人材などの就業者が増加傾向にあり、
労働市場の担い手が多様化していることが挙げられます。

こうした変化は、単に「人手が足りない」という量の問題ではなく、
「どのような人が働くのか」という質の変化が進んでいることを示しています。
そのため企業には、誰を採用するかだけでなく、
多様な人材をどのように活かすかという視点で労務管理を見直すことが求められています。

多様な人材を支える制度改正

こうした変化に合わせ、
2026 年度は多様な人材の活躍を後押しする制度改正が相次ぎます。

高齢者の安全衛生対策の努力義務化(2026年4月適用)
 加齢に伴う身体機能の変化を踏まえ、作業内容や負荷の調整、
 休憩の取り方、作業環境の改善など、無理なく働き続けられる職場づくりが求められる。

女性活躍推進法の情報公表義務の拡大(2026年4月適用)
 対象が「常時101人以上の企業」に拡大。
 採用比率・管理職比率などのデータ開示が必須。

障害者の法定雇用率の引き上げ(2026年7月適用)
 障害者の法定雇用率が2.7%に引き上げられるため、
 従業員数37.5人以上の会社は、採用計画の見直し・受け入れ態勢の整備が必要。

外国人材の制度運用の見直し(2027年)
 2027年度の技能実習制度の廃止と育成就労制度の創設に向け、
 受入れ体制の再整備が求められる。

これらの施策の背景には
「多様な人材を前提とした労働市場への転換」という共通の流れがあります。

今後、企業に求められる対応

多様化する人材を活かすために、企業が取り組むべきことは、
新しい制度を増やすことだけではありません。
すでに現場で行われている工夫や配慮を、簡単なルールや言葉で共有し、
「誰が担当しても続けられる形」に整えることも重要な選択肢です。
人材確保が難しい中で、
従業員が安心して長く働ける環境を整えることは定着率向上に影響します。

また、投資家や消費者も、企業がどのように人を大切にしているかを
以前より敏感に見ています。
国内外では、労働者の権利侵害や不適切な労働環境が明らかになった企業に対し、
投資控えや取引停止、不買運動が起きるケースもあります。

一方で、従業員を尊重し、安心して働ける環境を整える企業には
自然と支持が集まります。
人が定着する会社であることは、
これからの企業の競争力に影響する一つの要素になります。

≪2026年4月1日発行 マロニエ通信 Vol.278より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie